有識者招き勉強会、観光連携コンソーシアム

 観光庁は5月20日、第5回観光連携コンソーシアムを開き、東海旅客鉄道相談役の須田寛氏、特定非営利活動法人J.POSH副理事長兼事務局長の松田壽美子氏、特定非営利活動法人グローバルキャンパス理事長の大社充氏の3人の有識者を招き、それぞれの活動や意見を聞いた。

 須田氏は、産業観光の需要について、「観光ニーズが見物型から体験型・学習型へと変化している。産業観光はものづくりに関わるところであればどこにでも存在し、地域活性化へつながる」と述べた。今後の課題については、まだあまり認知度が高くない「産業観光」の情報発信と、たくさんある観光資源の体系化・ネットワーク化、ビジネスモデル構築の重要性などを挙げた。

 松田氏は、乳がん患者がなかなか温泉などに入れない現状を問題提起した。術後の体を見られないようにする「入浴着」は、衛生管理面で問題ないことが、長野県、北海道、熊本県のホームページで紹介されているが、まだ認知度は低く、実際に温泉施設でも入浴を断られてしまうことがあるという。「入浴着の認知度を高め、NOからYESではなく、WELCOMEに。乳がん患者さんでも、皆さんと同じように気兼ねなく温泉に入れるようにしていきたい」と熱い思いを語った。

 大社氏は、観光まちづくりのプラットフォーム形成の重要性について触れた。今までの旅行会社が顧客を集める「行こう型」から、地域の観光関連事業者が直接顧客を呼び込む「おいでよ型」への変化を紹介。「地域のなかに事業主体をつくり、地域資源の発掘や商品化のコーディネート、地域づくりの推進、市場への流通と市場からの呼び込みなどを行うことが必要」と述べた。

 3氏とも、各課題のクリアや今後の展開には、サポートする各省庁の横の連携が重要だと口をそろえた。

T/C66人、D/S1058人認定、トラベル・カウンセラー推進協

 日本旅行業協会(JATA)が事務局を務めるトラベル・カウンセラー制度推進協議会はこのほど、2009年度のトラベル・コーディネーター(T/C)と21講座のデスティネーション・スペシャリスト(D/S)の認定を行った。これによると、T/C認定者数は前年度比32・0%減の66人、D/S認定者数は同17・8%減の1058人といずれも減少した。

 発表を行った研修・試験部の住吉清部長は、T/C認定者の減少について「まずT/Cを受けてD/Sへという傾向がなくなり、受講者がD/Sに流れている」と説明した。  D/Sの国・地域別の認定者はハワイが172人と3年連続でトップ。次いでイタリア・マルタの86人、オーストラリアの82人。

 2010年度は、講座に「マレーシア」を追加し、22地域で展開するという。  なお、これまでの累計認定者数はT/Cが837人、D/Sが4524人。

訪日客25・8%増、4月では過去最高

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2010年4月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比25・8%増の78万7900人。4月として過去最高を記録し、6カ月連続のプラス成長となった。主要15カ国では、アイスランドの火山噴火の影響を受けた英国、フランス、ドイツを除く12市場で前年を上回った。3月28日の成田空港発着枠拡大(B滑走路延長)に伴い、エティハド航空、エミレーツ航空、マカオ航空が新規に就航。4月26日にはカタール航空が新規就航したことも、訪日客拡大の追い風となった。

 市場別にみると、韓国は、景気の回復や韓国ウォン高の影響で同66・9%増の18万9100人と大幅な伸びを示した。

 台湾は同20・2%増の10万9700人、中国は同41・3%増の15万900人、香港は同3・6%増の4万6600人と、東アジア市場は軒並み好調。そのほかにも、豪州は同15・5%増の1万8400人、米国は同8・4%増の6万6900人と増加した。

 一方、出国日本人数は同0・9%増の121万3千人とわずかながらも前年を上回り、2カ月連続の増加となった。

10年春の叙勲・褒章受章者、旭日中綬章に滝氏(日本温泉協会会長)

 政府は4月29日付で2010年度春の叙勲および褒章受章者を発表した。本紙関連では、旭日中綬章を日本温泉協会会長の滝多賀男氏が、旭日双光章を国際観光旅館連盟常務理事の山口元氏ら2人が受章した。

 国土交通省の勲章伝達式は、5月10日に東京・グランドプリンスホテル赤坂で行われた。

  本紙関連の勲章受章者は次の各氏。

 【勲章】
旭日中綬章 滝多賀男(水明館社長)=日本温泉協会会長、国際観光旅館連盟副会長 観光事業振興功労 旭日双光章 山口元(滝の湯ホテル代表取締役)=国際観光旅館連盟常務理事 同▽藤森紫朗(今朝会長)=元国際観光日本レストラン協会常務理事 同

障がい者の受入れ整備へ、ソウル市がバリアフリー化

 韓国のソウル市と、社会福祉法人ハンボッ財団は6月5―8日までの4日間、障がい者招待観光プロジェクト「車イスの皆様、ソウルへようこそ」を実施する。

 同プロジェクトは、バンクーバーパラリンピックアイスレッジ銀メダリストの高橋和廣氏ら、日本の著名な身体障がい者を招き、ソウル市内を観光してもらったうえで感想などを聞きながら、今後のバリアフリー化やバリアフリー観光開発推進に役立てたい考えだ。

 韓国はかつてのバリアフリー化が未発達というイメージ払拭へ、ソウル観光をしたいが断念していた障がい者を誘致できる環境整備に本格的に乗り出す。バリアフリーの整備に取り組むことで、日本の旅行業界に対して「ソウルが障がい者にも安心して観光ができる都市」であることをPRする。

 スケジュールは5日に金浦空港に到着したあと、参加者は翌6日まで観光やバリアフリーチェックを行う。その後、7日の「障害者にとっての日本と韓国の観光について」をテーマとした発表会では、実際にソウル市内を観光した感想や、障がい者スポーツ選手として世界各国を周っている経験談、日本国内や東京都の障がい者の観光促進のための制度や規則、現状などを情報交換する。

 一方、ソウル市で推進する観光バリアフリー整備計画や、障がい者観光支援計画なども発表される。ソウル市は障がい者観光コースの開発や、日本や中国の旅行会社への広報などにも積極的に取り組んでいく予定だ。

健康食「まぁーず」目玉に、信州DCに向け一致団結(長野県旅組青年部総会)

 長野県旅館ホテル組合連合会青年部会(宮原健部会長、123人)は4月27日、駒ヶ根市の山野草の宿二人静で定時総会を開いた。行政機関や親会と連携し、観光誘客に結び付く取り組みの継続を確認した。事業方針は昨年に引き続き「青年部だからできる活動」「青年部のための活動」「親会との連携」「協賛商社との連携」「観光政策に関する活動」の5つ。信州デスティネーションにあわせ青年部の各旅館が中心となり新しく開発する健康食「まぁーず」を目玉に宮原部会長体制2年目の集大成を目指す。

 宮原部会長は「今年10―12月は信州DC本番を迎える。青年部が開発した料理『まぁーず』は、地域それぞれの特色を生かした美容と健康のおもてなし。青年部のみならず親会を含めた業界全体で一致団結して盛り上げていく年にしよう」とあいさつした。

 来賓として出席した石原秀樹長野県観光部観光振興課長は「県の観光客数は長期低落傾向にあるが、インバウンドや地域の取り組みに反転のヒントがあるのではないか。その先頭に立つのが青年部。12年ぶりに行われる大型キャンペーン信州DCをきっかけにしたい。じゃらんや楽天、るるぶなどのサイト上で信州特集を組み、青年部が開発した『まぁーず』もネットを通して全国に発信してもらう」と語った。

 「まぁーず」は信州を代表する3つの発酵食材「味噌」「酒粕」「野沢菜」がコラボレーションした新しい健康食。信州地方の方言で「誠に」「本当に」という意味。信州DCに合わせ、長寿県長野にちなみ、組合会統一のテーマを「信州に泊まると健康になる!!」に設定。それに基づいて青年部が開発した。

 レシピは酒粕と味噌を合わせ、酒またはミリンで伸ばしたものに、刻んだ野沢菜を混ぜ合わせる。すべて長野県産のものを使うことが決まりだ。アレンジの仕方は、野沢菜に限らず地域の漬物を使ったり、油の代わりにバターを使ったり、辛味、砂糖を加えたりと自由自在。

 同日、総会と併せて、各旅館が開発した「まぁーずオリジナル料理」のコンテストも行われた。

 コンラッド東京の日本料理・総括料理長などを務めた経歴を持つ、齋藤彰雄氏と同県下那郡下條村出身のタレント、峰竜太さんが審査。齋藤彰雄賞には、「信州産ジビエのマンズマンジュ」(渋温泉・春蘭の宿さかえや)、峰竜太賞には、「信州サーモンの紙包み蒸しちゃんちゃん風」(小渋温泉・赤石荘)が選ばれた。齋藤氏は「素材の持ち味がうまく出ていて感心した」とプロの目線からお墨付き。峰さんは「つける、入れる、と使い方によって料理のイメージが変ってくる。いろんな方向に伸びていくのではないかと楽しみ」と感想を述べた。

 信州DCに向けて、長野県のすべての旅館で「まぁーずオリジナル料理」をメニューとして提供する予定。メニューは「まぁーず公式ウェブサイト」( http://shinshu.fm/MHz/18.83/ )で確認できる。

観光圏新たに15地区、10年度、伊豆など認定(観光庁)

 2010年度の観光圏整備計画、新たに15地域を追加認定――。観光庁は複数の観光地が連携して、2泊3日以上の滞在型観光を目指す「観光圏」の今年度の整備計画として、伊豆観光圏や立山黒部アルペンルート広域観光圏など15地域を新たに加えた。09年度は14地域、08年度は16地域が認定されており、3年目を迎え、計45地域が認定を受けている。

 同事業に認定されると、観光旅客の来訪・滞在の促進に効果や成果の見込まれるソフト事業に係わる補助金(上限40%)が国から交付されるほか、着地型旅行商品を宿泊施設で販売するための旅行業法の特例、さらには周遊割引券を導入する際、運送関係法令の手続き緩和などのメリットがある。観光庁は観光圏整備事業に係わる補助金について、10年度は41地域の観光圏を対象に交付を決定している。

 今年度新たに認定を受けた15地域は次の通り。

 はこだて観光圏(北海道)▽釧路湿原・阿寒・摩周観光圏(北海道)▽めでためでた♪ 花のやまがた観光圏(山形県)▽箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏(神奈川県)▽八ヶ岳観光圏(山梨県)▽トキめき佐渡・にいがた観光圏(新潟県)▽越中・飛騨観光圏(富山県・岐阜県)▽立山黒部アルペンルート広域観光圏(富山県・長野県)▽伊豆観光圏(静岡県)▽知多半島観光圏(愛知県)▽東紀州地域観光圏(三重県)▽瀬戸内しまなみ海道地域観光圏(広島県)▽香川せとうちアート観光圏(香川県)▽豊の国千年ロマン観光圏(大分県)▽玄界灘観光圏(佐賀県・福岡県・長崎県)

観光連携協定を締結、ノースアジア大と秋田市

 ノースアジア大学(小泉健理事長)は4月13日、秋田県・秋田市(穂積志市長)と観光に関する連携協定を締結した。同大は県内の八峰町と小坂町、鹿角市、男鹿市、仙北市、湯沢市、にかほ市、大館市とも連携協定を結んでおり、秋田市で9自治体目。

 同大は法学部のなかに観光学科を設置しており、連携協定で(1)「竿灯まつり」の魅力向上(2)体験型観光の推進(3)観光情報の整備と発信――など9項目の活動プログラムを設定した。

 協定後初めての活動として、4月29日と5月1、5日の3日間、市内の「大森山動物園」で同学科の学生と教員が来園者アンケートを実施。来園した家族連れなどから同園に関するアンケートの回答を得た。

学生が通訳ボランティア、訪日外国人患者対象に(城西国際大)

 城西国際大学の観光学部(石田益実学部長、千葉県鴨川市)はこのほど、亀田メディカルセンター(亀田隆明代表、同市)と訪日外国人患者やその家族を対象に、学生が通訳ボランティアを行う覚書を締結した。

 同学部にはウェルネスツーリズム学科があり、学生は医療現場で生の医療ツーリズムやホスピタリティを体験できる。同時に、多くの外国人患者の受け入れを促進することで地域の発展にも寄与する。

 とくに、中国語と日本語に堪能な留学生には、中国人富裕層患者などを対象にした通訳に期待が大きいという。なお、今回のボランティアでは、医療行為に関する通訳は行わない。

 一方、亀田メディカルセンターは亀田総合病院を中心に亀田クリニック、亀田リハビリステーションなど各医療サービス施設の総称で、同センターは日本で唯一、国際医療認証基準(JCI)を持つ医療機関。1日の外来患者数は平均約3千人で、近年は国内各地や海外からも来院しているという。

「一般社団法人」 へ移行、ANTA、6月の総会で提案

 全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)は5月12日、東京都内で第144回理事会を開き、6月に開く2010年度総会で、一般社団法人への移行を提案することを承認した。

 同協会は、昨年9月から「公益法人制度改革検討委員会」(委員長=木村茂男副会長)を設け、今般の公益法人制度改革に対応するため検討を重ねてきた。

 検討の結果、公益社団法人の認定要件の1つである公益目的事業比率の50%をクリアできないことが明らかになった。さらに、05年の保険業法の改正により、現在同協会で実施している全旅協福祉共済事業に保険業法が適用され、今後、新しい公益法人に移行登記した場合、その日から実施できなくなるなどの理由から、公益社団法人ではなく、一般社団法人への移行を提案することが理事会で承認された。また、現行の共済制度の廃止と新たな見舞金制度の創設についても、6月22日に開く総会に提案することを承認した。

 そのほか、09年度事業報告や収支決算も審議。苦情・弁済事業では、被申出会員13社に対する旅行者からの認証申出件数が1754件(昨年度は721件)、認証決議額は5249万9千円(昨年度は7949万5千円)となったことなどが報告された。

 二階会長も出席し、「観光に関して内外の期待が高まるなか、いかに地域や、国全体へと発展させていくかが問われている」とあいさつ。今年4月に青森で行われた「国内観光活性化フォーラム」の盛況についても触れ喜ばしいとした。来年は、富山市内で4月26、27日に開催予定という。