北海道・東川町とWHEREが連携へ SDGs推進に取り組む

2021年10月8日(金) 配信

左・平林社長、右・松岡町長

 地域経済活性化カンファレンス「SHARE by WHERE」を運営するWHERE(平林和樹社長、東京都墨田区)は10月7日(木)、北海道・東川町(松岡市郎町長)とオフィシャルパートナー協定を結んだ。同社は、地域プロデュース事業で培ったノウハウを生かし、東川町が推進するSDGsの取り組みを可視化し、認知拡大と企業連携のマッチングをはかる。

 東川町が行っている「オフィシャルパートナー」協定は、町とつながりのある企業とパートナーシップ関係を構築し、地域を通じて世界の未来を育む社会価値の共創を目指す。

 両者の社会価値を創造する取り組みや、同社社員のライフスタイルを育む活動、「写真の町」ひがしかわ株主制度と企業版ふるさと納税制度の活用──などを連携事項に盛り込んだ。

 また、同社が運営する地域共創コミュニティ「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」に東川町が参画することで、「より強固な協力関係を生み出し、官民連携の促進も行う」(同社)。

 今回の連携についてWHEREは、「地域や事業者の持つ価値を最大限活かす活動を、地域と共に続けていく」と意気込みを述べた。

LINKED CITY参画企業に迫る② 非対面で鍵の受け渡しを実現「RemoteLOCK」(構造計画研究所)

2021年10月8日(金) 配信

鍵の持ち歩きが不要に

 宿泊施設の客室をはじめオフィスなど、全世界7万ドア以上でご利用いただいている「RemoteLOCK(リモートロック)」を提供しています。オンライン上で発行する暗証番号で客室やエントランスが解錠できるスマートロックのため、暗証番号をネット予約時やチェックイン時にお渡しして、ゲストは入口ドアのテンキーから解錠ができます。

 管理システムから多数のドアと入室者の鍵・入室状況が管理しやすく、入室者ごとにユニークな暗証番号を簡単に発行・変更・削除が可能です。さらに、暗証番号には有効期間を設定できるため、利用時間前後に不正に解錠して入られる心配もありません。

 ホテル管理システムなどとも連動でき、例えば暗証番号をチェックイン端末に表示させる、非対面かつ無人での鍵の受け渡しを実現します。鍵を受け取る際のフロントでの行列待ちや、鍵を持ち歩きする手間はなく、グループ滞在の際も鍵をシェアできることで行動の自由度が高まります。

 今後もオープンイノベーションというスタンスで、宿泊施設を支援するさまざまなメーカー様、パートナー様と連携しながら、ホテルオペレーションの効率化やゲストにとっての安心で便利な滞在に貢献するサービスを提供していきます。

企業情報

すまいIoT部

TEL:050-5306-6250

参画企業が進めるLINKED CITYの全容

まちと関わる人口創出へ 沖縄北部を拠点に共同開発 ソーシャルデザイン×アドレス

2021年10月7日(木) 配信

ソーシャルデザインとアドレスはこのほど、業務提携を行った

 民間主導でまちづくりを行うソーシャルデザイン(北野勇樹社長、沖縄県名護市)と、定額制の全国住み放題多拠点居住サービス「ADDress」を運営するアドレス(佐別当隆志社長、東京都千代田区)はこのほど、業務提携を行った。2者が連携することで、「まちと関わる」人口の増加を目指す。

 2者協働での拠点開発や、ソーシャルデザインのコミュニティ施設「coconova」とADDressサービス会員の接続を行うことで、全国創生の実現に向け事業を進めていく。

 現在、ソーシャルデザインは、沖縄北部を中心とした物件開発をADDressと共同で進行中。沖縄県本部町の「ゆくりなリゾート沖縄」など、10月7日(木)時点で9施設20部屋がオープンしている。ホテル・旅館施設の空室活用や、遊休不動産のリノベーションも行いながら、2022年3月までに50部屋の設置を目指す。

 また、将来的には車で30分の距離で繋がるエリアを沖縄全島に整備し、「行く先々で滞在しながら沖縄全島を巡るように移動できる拠点ネットワークを形成する」(ソーシャルデザイン)。

 さらに、10月中旬にオープンする予定のコミュニティ施設「coconova」(名護市)を、地域の暮らしとのアクセスポイントとして活用する。住民主体で行われるワークショップへの参加や、施設内での交流を通じて、地域とADDress会員とを結ぶ体験をデザインする。

 両者は今回の連携を通して、持続的にまちと関わっていく多拠点居住のあり方を作っていく考えだ。

NAA 2021年8月、旅客数は前年同月比73%増に オリ・パラ関係者で改善

2021年10月7日(木) 配信

田村明比古社長。「21年8月の旅客数はコロナ禍前の19年同月比94%減だった」と発表した

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)が9月30日(木)に発表した2021年8月の航空発着回数は、前年同月比24%増の1万1691回、航空旅客数は同73%増の65万8443人となった。東京2020オリンピック・パラリンピック関係者の出入国が増加したことが主な要因。

 このうち、国際線では、旅客便発着回数が同70%増の4173回。旅客数は92%増の21万6953人だった。

 一方、前々年比では、発着回数が、同57%減。旅客数は同94%減と大幅に減少している。

 田村社長は「オリ・パラで需要が若干改善したが、依然厳しい状況が続いた」と振り返った。

 国内線の発着回数は同11%増の3690回。旅客数は同65%増の44万1490人だった。前々年比では発着回数が同30%減。旅客数は同64%減。

 平日の利用者数は前月と変わらなかったことを受け、田村社長は「本格的な回復基調に至っていない」との考えを示した。

 国際線貨物便は同17%増の3624回と過去最高となった。旅客便の運休で貨物スペースが減少し、臨時便が運航されたことが大きな原因。

 今後については、「国際線旅客便の運休が長引くため、貨物便の便数は今後も高水準を維持する」(同社)と見込む。

国内線の発着回復 連休の需要増見越す

 同日に発表した9月1―25日までの国際線発着回数は、前年同期比74・1%増の3535回、出国旅客数は同43・9%増の4万9100人だった。パラリンピック関係者の出入国で増加に転じた。

 国内線の発着回数は、同45・0%増の2213回。LCC(格安航空会社)各社が連休の需要増加を見据えた。

 8月と同様、連休に発着回数が増えた。同社は平日の旅客を増加させる施策を検討していく。

239億円減免猶予 昨年からの措置延長

 同社は今年10月分までとしていた着陸料やカウンター使用料、店舗テナント料などの減免・猶予措置を来年4月分まで延長する。今回は約239億円規模の措置を行う。昨年4月から実施してきた同措置は累計990億円になった。

 来年4月以降は、新型コロナウイルスの感染状況や航空会社の経営状況などを踏まえて、判断する。

 田村社長は「航空会社や構内店舗の業績回復、相当時間が掛かる。新型コロナウイルス収束後、増加する需要に万全の体制で応えたい」と意気込んだ。

連絡バス自動運転 EV車両で脱炭素へ

 EV車両の導入で、二酸化炭素排出量削減を目指すNAAの中長期的目標サステナブルNRT2050をより推進しようと、同社は22年1~2月、ティアフォーと東日本電信電話(NTT東日本)、KDDIと共同企業体を組み、同空港のターミナル間連絡EVバスの自動運転に向けた実証実験を行う。

 実証実験は、総務省が公募した通信事業ではない企業や自治体などが5Gネットワークを構築するローカル5Gの課題解決をはかる、「2021年度課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」で採択された。

 自動運転システムの検証や、空港における5G活用に関する技術を検証する。

横浜観光コンベンション・ビューロー、宿泊増につながる4事業採択 横浜クリエーションスクラム助成事業

2021年10月7日(木) 配信

横浜観光コンベンション・ビューローは「横浜クリエーションスクラム助成事業」4事業を採択した

 横浜観光コンベンション・ビューローはこのほど、今年で3回目となる「横浜クリエーションスクラム助成事業」4事業を採択した。横浜中華街「春節」に合わせた冬場の市内回遊促進や、横浜の地産地消食農体験など、今回のテーマである「宿泊増加につながる事業」が選ばれた。

 横浜の観光・MICEに携わる企業や団体、民間事業者が実施する新たな観光資源の定着に繋がる事業に対して、資金の助成を行う。

 「2022春節燈花」(横浜中華街発展会協同組合)では、中国における旧暦の正月である「春節」の時期に、中華伝統の「ランタンオブジェ」を横浜市内などに設置し、デジタルスタンプラリーを行う。また、中華街周辺ホテルを中心に、特典やクーポンが付いた宿泊プランを造成した。

 「地産地消の仕事人 椿直樹の横浜・食農体験ツアー」(日本旅行神奈川法人営業部)は、横浜の地産地消をテーマに、農業体験や地場食材を使用したホテルでの食事や、ルーフトップバスからの夜景観光など、横浜ならではのコンテンツを取り入れたツアーを実施する。

 「新しい横浜ブランド『クラフトビールの街』形成事業」(横浜ビール)では、ビアバイクを活用した宿泊増につながる事業を展開する。ホテルや旅行会社と連携した「ナイトビアバイクツアー」などの、ビールにまつわる新しい横浜ブランドの確立を目指す。

 「Yokohama City Workation」(エイチ・アイ・エス法人営業本部第一エリア営業部)は、横浜市内のワーケーションの取り組みを紹介するオンラインイベントを開いた。ベイサイト・ライフサイドの2つの視点でプロモーションを行うことで、ワークスペース、レジャー、宿泊などの施設をオンラインで体験してもらい、「横浜ワーケーション」をPRする。

LINKED CITY参画企業に迫る② パーティション越しの会話を聴き取りやすく(TOA)

2021年10月7日(木) 配信

利用イメージ

 TOAでは、感染防止対策のために設置されたパーティションで小さくなった音を補い、お互いの会話を聞き取り易くする「パーティション取付型会話補助システム」を提供しています。ホテルのフロントやコンシェルジェ、カフェやレストラン、レジまで、さまざまなシーンでのパーティション越しの会話をスムーズにサポートします。

 システムは親機と子機で構成されており、子機にマイクとスピーカーが搭載されています。話した声が子機を通して明瞭な音で聞こえるため、パーティション越しでの話しづらさ、聴きとりづらさが解消され、円滑なコミュニケーションを実現することができます。

 子機はあらゆる意匠に馴染むデザインです。また、磁石でパーティションなどに挟み込んで取り付けるため、簡単に設置できます。大きな音で拡声するのではなく、足りない音量を補うコンセプトですので周りに音が漏れにくく、お客様のプライバシーにも配慮したものとなります。

 今後も円滑なコミュニケーションを実現することでやホスピタリティの向上、ホテルオペレーションの効率化、施設利用者の安心に音で貢献していきます。

企業情報

東京カスタマー営業所

TEL:03-5621-5782

参画企業が進めるLINKED CITYの全容

JALトラベルレポーターを募集 SNSで旅や地域の魅力を発信

2021年10月7日(木) 配信

 

搭乗体験プログラム後の投稿例

 日本航空(JAL)は10月17日(日)まで、SNSで旅や地域の魅力を発信する「JALトラベルレポーター」を募集している。レポーターはJALグループが就航する地域を実際に訪れ、その土地のおすすめスポットや体験、食事などの情報を自身のSNSアカウントで発信していく。同活動は2020年末から進めており、今回新たなメンバーを募集し、正式に始動する。

 JAL公式のレポーターには、不定期で事務局からJALグループの特定路線や商品・サービスなどの体験プログラム募集がある。当選し、実際に参加したレポーターは、体験をSNSへ投稿する。純粋な旅行体験を発信するため、「#JALトラベルレポーター」のハッシュタグをつけること以外に制限は設けず、投稿の事前チェックも行わない。なお、活動への報酬は発生しない。

 レポーターの任期は11月ごろから1年間。応募条件は、ツイッターやインスタグラム、TikTok、You TubeなどSNSアカウントいずれかの1アカウントのフォロワー数が3000人以上の人。成人で、日本国内在住に限る。

メディカルチェック推進機構とICheck、ワクチンパスポート開始 接種者と安全求む企業結ぶ

2021年10月7日(木) 配信

ワクチンパスポートの表示画面。民間主導で初となる

 さまざまな感染症への対策を啓発するメディカルチェック推進機構(香山充弘理事長、東京都板橋区)と、PCR検査の実施などで新しい生活様式の定着を目指すICheck(金子賢一社長、東京都千代田区)は10月6日(水)、民間主導で初となるワクチンパスポートをアプリで表示する「ワクパス」を発表した。

 同日の会見で香山理事長は「コロナ禍でさまざまな産業の業績が悪化するなか、ワクチン接種者と接種者の誘客に力を入れる企業を結び、社会の正常化をはかる」と意気込む。

香山充弘理事長

 スマートフォンで利用できる同アプリは、自治体などが発行する予防接種済証と免許証などの本人確認書類をカメラで読み取り、ICheckが確認したのちに、ワクチンパスポートとして表示する。

 利用者は8社の賛同企業を利用する際、割り引きなどのサービスを受けることができる。

 観光業界から賛同した企業のうち、HISはより安心して旅行に出掛けてもらおうと、旅マエに抗原検査キットをプレゼントする。アパホテルは、チェックアウト時刻を1時間無料で延長する。

 このほか、鹿島アントラーズFCは立入禁止スポットに入場できる特典を用意。カッパ・クリエイトは、経営するかっぱ寿司で代金を10%割り引く。

 企業は掲載料無料でサービスを載せることができる。ICheckの島谷ひとみ社外取締役は「ワクチンの接種状況が可視化され、従業員が安心安全に働く環境を整えることができる」と説明した。

島谷ひとみ社外取締役

 これまでの接種者への特典は、各企業が用意していた。ワクパスはサービスをまとめて表示することで、消費者の利便性と企業の集客力向上にもつなげる。

 今後の賛同企業については「複数の会社が前向きに検討してくれている」(ICheckの山口慶剛取締役)とした。

山口慶剛取締役

 体質や不安を感じ、接種しない人への差別にならないよう、同社は今後、陰性証明を示すサービスも提供する。

 山口取締役は「個人の意思を尊重し、不利益を被らないようにする」と語気を強めた。

 トークセッションでは、鹿島アントラーズFCの小泉文明社長と映画監督の市山尚三氏、日本たばこ産業(JT)の森功一執行役員が登壇した。

 小泉社長は「政府からの要請で入場者数を抑えるなどしたため、売り上げは約3分の2までに減った。ワクチンパスポートが普及することで、上限の撤廃も自治体などに打診したい」と期待を寄せた。

 市山氏は「今年のゴールデンウイークなどに映画館は営業停止が求められた。ワクパスで、安心と安全をアピールして、これまで通りに運営できる体制できることを証明したい」と意気込みを述べた。

 森執行役員は「(コロナ禍で)食事は人の仲を深める場であることが再認識された。飲食店などにワクチンパスポートをさらなる需要回復への方法として紹介したい」と語った。

 同アプリは発表当日にリリースする予定だったが、内容がデリケートであるため、グーグルとアップルの審査に時間が掛かっている。近日中に公開する見込みだ。

 両者は今後、政府主導のワクチンパスポートとの連携をはかることに加え、海外渡航の際に必要な証明としても活用してもらえるよう、世界各国への提案も検討する。

「観光革命」地球規模の構造的変化(239) 世界競争力と日本の未来

2021年10月7日(木) 配信

 スイスのローザンヌに拠点を置く「国際経営開発研究所(IMD)」は世界最高峰の高等研究・教育機関として高い評価を得ている。1989年以降、毎年数多くの指標の詳細な分析に基づいて「世界競争力ランキング」を公表している。

 ランキングの指標は、4つの大分類と20の小分類から成る。①経済状況(国内経済、国際貿易、国際投資、雇用、物価)②政府効率性(財政、租税政策、制度的枠組、ビジネス法制、社会的枠組)③ビジネス効率性(生産性・効率性、労働市場、金融、経営プラクティス、取り組み・価値観)④インフラ(基礎インフラ、技術インフラ、科学インフラ、健康・環境、教育)。

 日本は同年から92年まで世界競争力ランキングの第1位を占めてきた。バブル景気が崩壊してから4位に下落、97年の金融不安(北海道拓殖銀行の破綻など)で競争力が17位に急落した。

 その後20位台で推移したが、2020年にはそれまででワーストの34位に激落。同年のアジア諸国のランキングと比べると、シンガポールは1位、香港5位、台湾11位、カタール14位、中国20位、韓国23位、マレーシア27位、タイ29位の後塵を拝している。要するに日本はさまざまな分野で国際競争力を失っており、厳しい現実認識に基づいて日本の未来を構想する必要が生じている。

 IMDの世界競争力ランキングが示している日本の弱点を列挙すると、次のようになる。「政府の効率性」では、財政赤字の是正、高齢化社会への財政対応、日銀による経済への影響の是正、海外からの投資に対する閉鎖性の打破などが必要。

 「ビジネスの効率性」では、意思決定の遅さ、柔軟性の欠如、起業家精神の弱さ、ビッグデータの活用不全、管理職の国際経験の乏しさなどが問題で、人的資本の整備、デジタル化を活用した意思決定や市場対応の迅速さ、外国のアイディアを受け入れる文化の開放性などが必要。「インフラ」では、研究開発によって蓄積された優れた知識資本を十全に活用できるマネジメント能力や語学能力を改善する教育制度の改革が必要。

 世界各国の競争力を冷静に分析したうえで、日本の将来ビジョンと周到な戦略を明確に構築し、世界に伍して日本を確実にリードできる優れた政治家の登場が必要不可欠だ。

 

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

21年上半期・旅行業倒産16件 コロナ関連倒産が9割超え(東京商工リサーチ調べ)

2021年10月6日(水) 配信

東京商工リサーチはこのほど、2021年上半期(4~9月)の旅行業倒産動向をまとめた

 東京商工リサーチがこのほど発表した2021年上半期(4~9月)の旅行業倒産は16件となり、前年同期比166・6%増と急増した。前年同期を上回ったのは4年ぶりとなる。このうち新型コロナ関連倒産は15件と、全体の9割超を占めた。同社の集計では、20年に廃業した旅行業者は過去10年間で最多の158社にのぼり、同社は「21年はこれを上回る可能性がある」と危機感をあらわにした。

2021年4~9月期の旅行業倒産動向

 今年度上半期・旅行業倒産の負債総額は23億7400万円(前年同期比91・6%減)となった。2年ぶりに前年同期を下回ったが、20年6月に発生したホワイト・ベアーファミリー(負債278億円)の大型倒産による反動減が生じた。

 コロナ禍による倒産は15件となり、全体の93・7%を占めた。21年1―9月は、2月と9月を覗いた7カ月間で、新型コロナ関連倒産が旅行業倒産の100%を占める結果となった。

 原因別では「販売不振」が14件(同366・7%増)と最多に。コロナ禍の業績悪化を原因とした旅行業者が大部分を占めた。同社は、「国内旅行よりも海外旅行の方が壊滅的な状況。海外旅行に特化した業者の倒産が散発している」と懸念を示した。

 負債額別では、5000万円以上1億円未満の6件が最多となり、全体の37・5%となった。負債1億円未満の小規模倒産が全体の約7割を占めた。このことから、経営体力に乏しい小規模業者の、息切れ倒産が相次いでいることが分かった。

 地区別では、9地区の打ち6地区で発生し、最多は関東9件(同1件)。このうち東京都が7件となった。ほか、九州で3件(同2件)、東北・中部・北陸・中国が各1件。

人流抑制が長引き、息切れ倒産相次ぐ

 新型コロナの感染拡大は、入出国規制や緊急事態宣言の発令で国内外の人流を抑制し、今もなお旅行業界に大打撃を与えている。政府は実質無利子・無担保融資や、持続化給付金、雇用調整助成金などの支援策を講じた。

 20年7月には「Go Toトラベルキャンペーン」を開始したが、感染拡大の影響で同年12月に事業を停止し、未だ再開には至っていない。

 同社は、「人流抑制が長引き、旅行だけではなくビジネス関係でも、リモートワークの浸透で出張が大幅に減少している」と厳しい現状を振り返る。起死回生に期待していた東京オリンピック・パラリンピックは無観客の開催となったことから、「大手旅行会社も軒並み赤字決算に陥り、早期・希望退職や、本社売却などで生き残りをはかっている」(同社)。

 東京商工リサーチが今年8月に行ったアンケートでは、旅行業の38・2%が「コロナ禍の収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性がある」と回答した。

 10月4日(月)に就任した斉藤鉄夫国土交通大臣は就任会見において、Go Toトラベルの再開に前向きな姿勢を見せたが、「業界からは入出国制限の早期緩和を求める声も根強い」(同社)。

 同社は、「コロナの収束時期にもよるが、それまでは旅行業の息切れ倒産や、廃業の増加が危惧される」と調査をまとめた。