13年の宿泊者数過去最高、外国人は26.3%増の3324万人泊(観光庁調べ)

宿泊旅行統計の調査結果
 観光庁はこのほど、2013年10―12月の宿泊旅行統計の調査結果を発表した。13年10―12月の延べ宿泊者数は前年同期比4・0%増の1億1500万10人泊で、このうち日本人が同2・3%増の1億630万900人泊で、外国人が同30・6%増の869万9110人泊となった。13年1―12月の累計は、延べ宿泊者数が前年比3・8%増の4億5605万1910人泊で、このうち日本人が同2・3%増の4億2281万1890人泊、外国人が同26・3%増の3324万20人泊と、ともに調査開始の07年以来過去最高となった。

 13年10―12月の延べ宿泊者数を都道府県別にみると、中部、近畿地方を中心に全国30都道府県で前年同期比が増加。延べ宿泊者数のトップは東京都で前年同期比7・9%増の1355万4860人泊となった。次いで北海道が同3・2%増の698万610人泊、大阪府が同6・0%増の648万4780人泊、京都府が同19・9%増の551万7840人泊、静岡県が同1・3%増の495万1290人泊、千葉県が同7・7%増の479万6100人泊、沖縄県が同7・4%増の434万8120人泊、神奈川県が同3・5%減の430万6920人泊、愛知県が同17・4%増の398万7430人泊、長野県が同1・3%増の393万4630人泊、福岡県が同7・2%増の373万9270人泊、兵庫県が同3・9%増の335万6480人泊、宮城県が同5・3%増の274万9560人泊、三重県が同14・1%増の258万9690人泊、栃木県が同6・2%減の251万9450人泊と続いた。

 当期の述べ宿泊者全体に占める外国人宿泊者の割合は7・6%で、前年同期より1・6ポイント増えた。

 当期の外国人延べ宿泊者数は、42都道府県で前年同期を上回り、36都道府県が2010年の水準以上に回復した。国籍別にみると、第1位は台湾で前年同期比55・4%増の151万人泊。次いで中国が同128・2%増の109万人泊、韓国が同3・0%減の78万人泊、アメリカが同16・1%増の75万人泊、香港が同77・6%増の64万人泊、タイが同98・7%増の47万人泊、シンガポールが同50・2%増の33万人泊、オーストラリアが同21・1%増の23万人泊、マレーシアが同80・7%増の21万人泊、英国が同13・3%増の16万人泊と続いた。

 当期の客室稼働率の全国平均は56・3%。施設別では、旅館が33・3%、リゾートホテルが51・8%、ビジネスホテルが72・8%、シティホテルが77・5%、会社・団体の宿泊所が27・7%となった。

 13年1―12月の延べ宿泊者数累計を都道府県別にみると、トップは東京都で前年比4・7%増の5148万3120人泊。次いで北海道が同6・3%増の3039万2020人泊、大阪府が同3・2%増の2409万740人泊、京都府が同27・0%増の2062万9010人泊、静岡県が同0・1%増の2030万1320人泊、千葉県が同2・4%増の1978万8860人泊、沖縄県が同20・4%増の1876万3810人泊、長野県が同1・2%増の1851万9350人泊、神奈川県が同1・7%減の1694万7820人泊、愛知県が同8・9%増の1461万7180人泊、福岡県が同6・5%増の1455万6550人泊、兵庫県が同5・9%増の1307万7150人泊、宮城県が同7・3%増の1077万1290人泊、福島県が同4・0%減の1016万7030人泊、三重県が同17・9%増の982万4230人泊と続いた。

 同期間の外国人延べ宿泊者数を国籍別にみると、第1位は台湾で前年比60・5%増の610万人泊。次いで中国が同1・6%増の410万人泊、韓国が同29・0%増の373万人泊、アメリカが同・15・6%増の286万人泊、香港が同56・0%増の252万人泊、タイが同73・8%増の141万人泊、オーストラリアが同31・1%増の88万人泊と続く。

4月から消費税アップ ― 増税を忘れさせるほどのおもてなし

 1年には幾つか節目があるが、早いもので年が明けて3カ月が過ぎた。2014年という年が明けたとき、私は何の感慨もなく、大きな抱負もなく、淡々と年が明けてしまった。さすがにそんな我が身を不安に思った私は、ある人に「年が明けると、みんな口をそろえて『おめでとうございます』と言うが、本当に皆が、年が明けることをめでたいと思っているのだろうか」と聞いたのだ。40代の私でさえ、年が明けることが楽しみでも、特段めでたくもないのに、たとえば80代、90代のご高齢の方々は新年をどういう気持ちで迎え、そして、何故祝うのか、皆目わからなかったのだ。すると、その人は、「年が改まると、一度チャラにできるからね」と呟いた。

 そうなのだ、日々だらだらと生きていれば、ささやかな楽しいことがある一方で、嫌なことや、忘れたい出来事もたくさん身に降りかかってくる。しかし、365日という一括りのなかで年が改まれば、自分の気の持ちようによっては再スタートを切ることが可能であるし、過去の自分を「まっさら」にすることもできる。その意味で誕生日も一つの節目だし、4月1日という新年度の始まりも大きな節目になるということだ。

 さて、さまざまな節目が存在するなかで、4月というのは、多くの日本人にとって特別な意味を持っている。桜の老木たちが薄紅色に染まりだすと、「また今年も桜の季節になったのか……」と無頓着な私も感慨が深くなる。

 けれど、今年の4月は浮世離れしてふわふわと美しい桜に見惚れている余裕はないかもしれない。空蝉の世では、消費税が5%から8%に増税される。厳しい時代へと突入していくのである。

 消費税の増税対策として、各企業は消費欲が減退しないようにさまざまな経営努力や準備を怠らない。食品のパックを従来の半分の量に小分けして、増税感を消す工夫や、カップラーメンの器をほんの少し小さくするなど、ありとあらゆる知恵を絞って対応している。事前に施設をリニューアルして、料金アップを実現しているレジャー施設もある。民間企業は増税によって鋭く鍛えられるのだろうが、一方、政治家や行政は税の使い方について、もう少し精度を高めていかないと、民間企業や一般生活者に対して申し訳が立たないだろう。テレビニュースは、企業や商店の血の滲むような努力を紹介するのはいいが、国の税の使い道や方針について詳しく伝えないかぎり、その報道はあまり意味がない。

 税金は使い方によっては、生きもするし、死にもする。

 消費税が5%から8%に増税されることで、従来と同じ商品やサービスを今後も提供するならば、3%分消費者が支払う料金が値上がりする。また、料金を同じにするならば、3%の増税分の内容が薄くなるか、減ってしまう。だが、サービス業ならば、コストを掛けずに商品力を上げることができる。人による「おもてなし」のサービスを付加価値にし、増税を忘れさせるくらい強いリピーターにすることも可能だ。増税した分だけ、消費者の選択眼は厳しくなる。一層、消費者の心に寄り添うことが必要だ。さまざまな業界で創意工夫がなされるなかで、観光業界も競争に負けずに、むしろ攻勢に出てほしいと思う。

(編集長・増田 剛)

No.367 JATA経営フォーラム2014 - 新しい価値創造への挑戦

JATA経営フォーラム2014
新しい価値創造への挑戦

 日本旅行業協会(JATA、菊間潤吾会長)は2月26日、東京都内のホテルで「経営フォーラム2014」を開き、旅行会社のトップら約300人が集まった。「新しい価値創造への挑戦」を総合テーマに、今後の旅行業のあり方などを模索。全体プログラムでは、特別講演とパネルディスカッションを実施し、その後は5つのテーマで分科会を設定した。全体プログラムや国内旅行商品に関する分科会を中心に紹介する。

【飯塚 小牧】

 
 
 
 
利益率0.56%に、リーマン前の水準超える

菊間潤吾会長
菊間潤吾会長

 フォーラムの冒頭、菊間会長は、会員に実施している経営分析調査の2012年の結果から、「第1種旅行業の取扱高営業利益率は0・56%となった。我われが目指す1%には遠いが、リーマンショック前の06年の0・55%を超えた」と上向いている現況を報告した。規模別では中堅以下の利益率が高く、「小規模な会社でも得意分野で勝負している会社が利益率の高い経営をしていることが分かる」とした。

 また、JATA会員の取扱高シェアは国内旅行が52・3%、海外旅行が43・2%、訪日旅行が4・45%と紹介。「訪日旅行はシェアが低く、また大手に偏っている。現在の潮流を考えると国内、海外に加え、訪日旅行を大いなるビジネスチャンスと捉えるべきだ」とし、「取り巻く環境の不安材料を挙げればきりがないが、時代が要求をしている役割をこの旅行業界がきちんと果たせるように、JATAとして環境整備や機会の創出に努めていく」と語った。

 
 
 観光庁の篠原康弘審議官は久保成人長官のあいさつ文を代読し、「旅行業のさまざまな課題が表面化していると認識している。観光庁は昨年から旅行産業研究会を立ち上げ、今後の旅行業のあり方や現行の諸制度の見直しの方向性について議論を進めている。本日の議論もぜひ今後の検討に反映したい」と述べた。

 

※ 詳細は本紙1540号または4月7日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

女神から堕天使へ

 女神から一転、堕天使のような扱いを受けた理化学研究所の小保方晴子さんは今、どうしているのだろうか。一連の騒動が、組織によって起こされたことなのか、それとも小保方さんらが見切り発車してしまったのかは分からないが、この事件で私が最も気になるのは彼女への報道の変貌ぶりだ。当初、若い女性研究員による画期的な発見ということでアイドル並みの扱いだったように思うが、先日の電車の中釣りでは、女性を逆手に取った週刊誌お得意の品のない見出しが躍っていた。

 そうした方が売れるのかもしれないが、彼女は有名税を支払う政治家でも芸能人でもない一般人なのだ。万が一、研究者として単独でしてはいけないことをしてしまっていても、それは研究員としての今後が閉ざされるなど、何らかのかたちで罰が下されるのだから、個人的なことはそっとして置いてあげてほしい。

【飯塚 小牧】

海外メディア招請を、東北観光回復へ情報発信重要(久保観光庁長官)

 東日本大震災から3年が経過しても本格回復になかなか至らない東北のインバウンドについて、観光庁の久保成人長官は3月19日の会見で、海外メディアの招請や商談会など現地視察による情報発信の重要性を強調し、「回復の兆しから、震災前水準への本格的な回復へ支援していきたい」と話した。

 震災後の東北6県の外国人延べ宿泊者数は、2012年が23万3千人泊、13年が前年比17・8%増の27万4千人泊と、回復の兆しを見せているが、震災前の10年は50万人泊を超えており、震災前水準にはほど遠い。3月2日に宮城県仙台市で開かれた「東日本大震災から3年~東北観光がんばります!!」シンポジウムでは、集まった東北6県の知事から、情報発信の強化や予算の増強、観光庁の積極的な取り組みなどについての要望が出ていた。

 久保長官は会見で、「放射線量の正確な情報発信を続けることが大事」と強調。さらに「海外のメディアなどを招請し、実際に現地で動いて見てもらい、情報発信してもらうことが効果的」と話し、海外メディアの招請や商談会の実施、ビジット・ジャパン事業の地方連携事業などに積極的に取り組み、可能な限り早期の回復を目指し支援していくという。

 2月の訪日、好調維持
 スノーリゾート地人気

 2月の訪日外客数が前年同月比20・6%増の88万人、1―2月の累計では前年同期比30・5%増の182万3900人と過去最高を記録していることを受け、久保長官は「1月に引き続き好調を維持している」とコメント。大幅増の要因に、スキー旅行や冬の行楽に向けたプロモーション効果をあげた。

 同25・1%増と高い伸びを見せた豪州などに、ニセコ(北海道)や白馬(長野県)などのこれまでの人気訪問地に加え、野沢温泉(長野県)や妙高温泉(新潟県)などのスノーリゾート地の人気が高まっていることを紹介した。

 1―2月の累計が前年同期比92・0%増の29万4100人となり好調な中国については、同期間に7便のクルーズ船が寄港し、1万4600人が日本を訪れたことを報告し、クルーズ船寄港の影響の大きさについて触れた。

「日本の旅文化を創る会」へ、朝日旅行協力会が名称変更

佐藤好億会長
佐藤好億会長

 朝日旅行協力会(佐藤好億会長、466会員)は3月19日、東京都内で2014年度第47回通常総会を開いた。時代の大きな転換期を迎え、新たな変革を自ら起こす強固な組織づくりに向け、47年間続く会の名称を「日本の旅文化を創る会」に変更した。厳しい時代のなかで生き残りに向けて同会は、朝日旅行との協力体制の独自性の伝統を残しながら、“目的意識を明確にした”名称で、「個」から「組織のブランド力」で戦う会員組織を目指していく構えだ。
【増田 剛】

 
 
 
「組織のブランド力」で生き残る

 佐藤会長は冒頭、「朝日旅行協力会がJTB傘下になって今年で6年目を迎えるが、長い歴史のなかで、残さなければならないものや、失くしてはならない思いがある一方で、厳しい環境のなかで変革が必要なものもあり、会員の皆さんとともに確認していきたい」とあいさつした。そのうえで「我われの宿は地域の文化を作っている存在であり、これを今後も継続していかなければならない。我われが今、なすべきことはなにかを考え、10年先、20年先の『日本の旅文化の創造』へ、心を一つにして向かっていきたい」とし、47年間続いた「朝日旅行協力会」という名称を「日本の旅文化を創る会」へと変更することについて理解を求めた。

朝日旅行の井沢啓社長
朝日旅行の井沢啓社長

 名称変更に違和感を訴える一部会員もいたが、朝日旅行の井沢啓社長は「協力会のそれぞれの部会の有するブランド力を、より大きな相乗効果を生む組織へと進む道を考えるときに、協力会の皆さんと同じ方向だと思う」と述べ、「一つの方向に向かうことのできる組織名になれば、より強固な組織になれるという思いで、会社としても、発展的な変更ということで協力会の会員とともに名称変更を決断したい」と語った。

 さらに、井沢社長は「厳しい環境の中で、次のステップを踏むには何かを変える決断をしなければならない。今変えないと将来に禍根を残すものであれば、決断が必要だと思う」とし、「朝日旅行はJTBグループの一員であるが、47年間の歴史、独自性を堅持すべきであり、それぞれのブランドが一つにまとまればもっと大きなブランドとなって皆さんも戦いやすくなると思う。生き残るためにどう戦い、お客様にアピールし支持されていくか。変化へ対応だけでなく、変革への挑戦を皆さんとともにやっていきたい。朝日旅行もこの方向で邁進していきたい」と力強く語った。

 今年度は「日本の宿を守る会」(48会員)、「日本秘湯を守る会」(182会員)、「日本の食文化を守る会」(17会員)、「日本文化遺産を守る会」(27会員)、「日本源泉湯宿を守る会」(45会員)の5つの部会が宿泊キャンペーンの展開など、それぞれの部会ごとに新たな事業に取り組んでいく。

サッカーと訪日観光を結ぶ

 インドネシアで絶大な人気を誇るイルファン選手が山梨県のJリーグチーム・ヴァンフォーレ甲府に加入した。

 人口が2億4千万人と世界第4位のインドネシアは、経済成長とともに海外旅行者も増加している。山梨県はトップセールスを行うなど、かねてよりインドネシアからの観光客誘致を推進。スター選手の移籍は、さらなる相互交流の起爆剤となりそうだ。

 実際に昨年は、コンサドーレ札幌で活躍したベトナムのレ・コン・ビン選手が注目を集めた。北海道でプレーする国民的スターの姿を一目見ようと、ベトナムから海を渡りサッカー観戦に訪れる観光客も少なくなかったという。

 サッカー観戦の魅力は万国共通。波及効果を訪日観光に活かせるか。地域に根差すJリーグの展開に期待したい。

【森山 聡子】

春秋航空日本に出資、事業提携で旅行商品造成(JTB)

田川JTB社長(左)と王春秋グループ会長
田川JTB社長(左)と王春秋グループ会長

 JTB(田川博己社長)はこのほど、中国最大のLCC春秋航空股分Spring Airlines(王正華会長)の日本法人春秋航空日本Spring Airlines Japan(鵜飼博社長)に出資することを発表した。春秋グループと事業提携することで、同グループのLCCを使った旅行商品の造成により、日中双方向の人口交流拡大を目指す。

 JTBの田川社長と、春秋グループの王会長が出席した3月25日の会見で、田川社長は「出資額は数億円」、春秋航空日本の資本金60億円のうち「出資率は5%以内」と明かし、出資額は実質1―3億円の間とみられる。4月1日からは両社間の人的交流も行い、JTBから春秋航空日本へ出向し、旅行商品の造成も行うという。航空事業への参入はせず、あくまでLCCを組み合わせた旅行商品の造成で、中国からの訪日旅行と、日本からの海外旅行拡大を狙う。

 田川社長はLCC市場について「2012年の北東アジアのLCCシェア率は10%程度だが、東南アジアは52%に上る」と紹介。「北東アジアのオープンスカイが進展すれば、今後LCCシェア率は上がってくる」と語った。また、「欧はビジネスのレガシー、レジャーのチャーター、生活のLCCが3分の1ずつの割合で、日本も今後そうなってくる。それぞれを組み合わせての座席確保が、訪日・国内・海外旅行すべてで、今後大きな命題になる」と分析。中国について「交流人口拡大の大きなポテンシャルを有する市場」とし、「春秋が行う中国内のチャーター戦略を日本国内に持ち込めば、日本から中国への海外旅行客も増やせられる」と展望を語った。

20.6%増の88万人、スキーや冬の行楽人気(2月の訪日外客数)

2月の訪日外客数
 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)はこのほど、2月の訪日外客数推計値を発表した。2月の訪日外客数は前年同月比20・6%増の88万人で、これまで2月の過去最高だった13年を15万1千人も上回った。1―2月の累計では前年同期比30・5%増の182万3900人と過去最高のペースで推移している。

 昨年から続く東南アジアのビザ緩和効果や円安傾向にともなう割安感の浸透、スキー旅行や冬の行楽に向けた訪日旅行プロモーションが奏功した。市場別では、中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、豪州が2月として過去最高を記録。豪州は引き続きスキーを中心とする訪日旅行の需要が拡大し、25・1%増と高い伸びを示し、欧米市場も順調に拡大した。

 重点市場をみると、全体の4分の1を占める市場の韓国は、同1・2%減の23万1500人。旧正月休暇が昨年は2月だった影響もありマイナスとなったが、1―2月の累計では前年同期比3・9%増の48万7千人と、08年、11年に次ぐ過去3番目の記録となった。13年10月以降3カ月続いたマイナス傾向が先月プラスに転じ、1―2月の累計でもプラスを維持。原発汚染水問題の報道の影響はほぼ収束した。

 台湾は同27・2%増の19万1200人と、2月の過去最高を更新。旧正月休暇が例年より短かったが、連休明けも訪日旅行需要が継続し、ピーク期を外した手ごろな商品の人気が高かった。LCCの新規就航・増便による座席供給量の増加、訪日旅行の割安感の浸透なども後押しした。1―2月の累計は同48・3%増の38万8100人。

 中国も同71・1%増の13万8400人と2月の過去最高を更新。上海発のクルーズの寄港や円安傾向によるショッピングの割安感の浸透が需要拡大に寄与した。1―2月の累計は同92・0%増の29万4100人。

 香港も同14・4%増の6万4700人と2月の過去最高を更新。旧正月休暇中は団体・個人旅行ともに好調で、需要拡大により訪日商品の価格が上昇しているにも関わらず、依然訪日旅行人気は高い。1―2月の累計は同45・9%増の12万8100人。

 そのほか、東南アジア諸国も好調で、タイは同72・4%増の3万4300人と2月の過去最高を更新。北海道方面が好調で、さっぽろ雪まつりや樹氷鑑賞、雪そり体験など、冬季ならではの体験ができる訪日ツアーが人気。企業のインセンティブ旅行も伸び、訪日タイ人増加を後押しした。

 なお、出国日本人数は同1・8%減の140万5千人となった。

インバウンド対応へ、“みなし”不可で時間管理徹底(TCSA)

 山田会長(右)と三橋専務理事
山田会長(右)と三橋専務理事

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長、48会員)は3月20日、東京都内で2014年度通常総会を開いた。その後、報道関係者を集めプレスインタビューを行い、今年度はインバウンドに対応するための人材育成や、添乗業務の時間管理への対応など添乗環境整備事業に注力することを発表した。

 山田会長は、今年1月、阪急トラベルサポートに最高裁判所が下した「添乗員のみなし労働は認められない」という判決結果を紹介し、「これにより労働時間管理が大きく変わってくる」と述べた。また、「労働者派遣法の改正が厚生労働省で検討されており、恐らく次の通常国会に提出されるだろう」とし、総会後の会員懇談会でこれらに関する会員からの意見や要望を聞いたことを報告した。

 三橋滋子専務理事は、今年度事業の説明のなかで、労働時間管理に触れ「労働時間は派遣先の旅行会社にきちんと管理してもらわなければならないことを説得していく」とし、「判決で添乗労働について始業、終業の考えが明記されたので、これをもとに実態とすり合わせながら協会統一のものを作らなければならない」と語った。一方、明確な時間管理が進むことで、これまで日当が出ていた仕事が2―3時間と計算され、結果として賃金が減少してしまうことが懸念されるが、「旅行会社はトライアルとして8時間分を支払うという考えを示してくれている」と述べた。

1級認定バッジ
1級認定バッジ

 このほか、今年度は人材育成事業のなかでインバウンドの添乗業務へも対応していく。初めて専用のカリキュラムを作成し、2020年の東京五輪時の対応を目指す。また、添乗員のモチベーションアップのための事業では、1996年から設置している「添乗員能力資格認定制度」の普及のため、2013年度に作成した1級認定バッジをこのほど、総合と国内合わせた700人の1級保持者に配布。これまで以上に普及啓発に取り組む。さらに、若年層へ広く添乗業務の魅力を発信するため、フェイスブックを活用した広報活動にも力を入れる。