8年連続沖縄1位に、海外はマレーシアがトップ(ロングステイ)

 ロングステイ財団(舩山龍二会長)がこのほど発表した「ロングステイに関する意識調査」によると、2014年度の国内のロングステイ人気都道府県は8年連続で沖縄が1位となった。海外の希望国トップは9年連続でマレーシア。

 国内ロングステイは滞在期間1週間以上で、地域文化との触れ合いや住民との交流を深めながら滞在するライフスタイルと定義づけており、今回は全国の1060人に対し、移住や引っ越しではないことを前提に国内ロングステイへの関心を調査した。

 順位は、沖縄以下、北海道、京都府、長野県、東京都、福岡県、静岡県、神奈川県、宮崎県、鹿児島県。ランキングに入った都道府県は、気候や交通・施設などの環境がよいことなどが理由にあがった。

 海外のロングステイ調査は、同財団が14年4月から15年3月までに主催したイベントなどの参加者にアンケートを行ったもので、有効回答数は3575枚。

 マレーシアの人気は、受け入れのための査証プログラム「マレーシア・マイ・セカンドホームプログラム(MM2H)」制度の充実や気候、治安、医療水準の高さにあるという。2位以下はタイ、ハワイ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、アメリカ本土、フィリピン、インドネシア。

 なお、国内、海外の調査とも詳細は9月に発売予定の「ロングステイ調査統計2015」で発表する。

四国DC17年春に、4県・JR四国など会合開く

四国DC推進委員会の第1回会合
四国DC推進委員会の第1回会合

 JRグループの大型観光キャンペーン「四国デスティネーションキャンペーン(DC)」の2017年4―6月実施決定を受け、高松市内のホテルで6月1日、四国4県やJR四国などで組織する四国DC推進委員会の第1回会合が行われた。

 四国DC開催は03年以来14年ぶり。DC期間中はJRグループ6社が駅構内や列車内で四国PRを集中的に展開する。

 会合には四国ツーリズム創造機構の松田清宏会長をはじめ、徳島県商工労働観光部の折野好信次長、香川県交流推進部観光振興課の玉井秀紀課長補佐、愛媛県経済労働部観光交流局の佐伯登志男局長、高知県観光振興部の伊藤博明部長ら14人が参加した。

 松田会長は「ようやく誘致することができた。四国には素晴らしい素材がたくさんある。本番まで時間は少ないが、推進委員会と実行委員会が両輪となり、何度も四国へ来てもらえるようなキャンペーンを展開したい」と意気込みを述べた。

 同日には推進委員会事務局(四国キヨスク本社内)の看板かけ式典も行われた。

 来年春には旅行会社の担当者らを招き、「全国宣伝販売促進会議」を開くほか、プレDCも展開。瀬戸内国際芸術祭2016とリンクさせ、四国への誘客を強化する。

架空の旅行会社設立、提携会社でツアー販売(高知県)

尾﨑知事(中央)やブロガーらが登壇した
尾﨑知事(中央)やブロガーらが登壇した

 高知県は6月3日、高知の知られざる魅力を体感できる架空の旅行会社「高知家 エクストリーム トラベル社」を立ち上げ、東京都内でキックオフイベントを開いた。年間30ほど企画されるツアーは、提携する旅行会社(JTBコーポレートセールス、とさでんトラベル)を通して実際に販売し、同日、Webサイトもオープンした。

 第1弾として発売されたプランは、高知の街中を食と酒を楽しみながら走る「路面電車で土佐の宴を!」や、高知が誇る高級料亭「濱長」で土佐芸妓とお座敷遊びが体験できる「土佐のお座敷遊びを極める!」などの6ツアー。一般的な高知のイメージを飛び越える、“エクストリーム”なツアーを取りそろえ、尾﨑正直知事は「『ドを過ぎる』のが高知流。地元の人だけが知っている高知の魅力を、ぜひ県外の皆様にも体験していただきたい」とアピール。今後はツアー参加者への調査や、サイト上で募集する旅行企画の提案などのマーケティングデータを元に、観光資源の発掘や、オリジナリティある旅行パックの企画開発も行っていくといい、「Web上でツアーを進化させていき、より多くの旅行会社様で扱っていただけるよう商品化できれば」と期待を寄せる。

 サイト内では、実際に人気ブロガーにツアーを体験してもらい、執筆したブログのSNSシェア数を競う「エクストリームブロガーフェス」も開催し、ブログやメディアタイアップを活用した情報発信も展開していく。

 イベント当日は、参加する6人のブロガーが登壇し意気込みを語ったほか、濱長の土佐芸妓・かつをさんも駆け付け、「しばてん踊り」など、土佐に伝わるお座敷遊びの魅力を紹介した。

No.403 40周年記念事業、台湾で「100選」旅館をPR

40周年記念事業
台湾で「100選」旅館をPR

 旅行新聞新社は今年、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」が40周年を迎えたのを記念し、4月23―26日まで台湾で「100選」事業を売り込むプロモーションを実施した。日本からは趣旨に賛同した100選入選旅館、21軒・31人が参加。期間中は、台北で開催された雑貨などの見本市「ギフショナリー台北」に出展して一般消費者にPRを行ったほか、24日は台湾の旅行会社30社を招き、説明会と施設との交流・商談会を開いた。

 
 

 
 

≪旅行会社30社が参加、旅館との商談会実施≫

 4月24日の説明会・交流会は、台湾の観光業界専門誌で本紙と提携している旅奇(Travel Rich)の協力で実施。台湾で、日本への旅行を扱っている旅行会社30社・50人が集まった。

 台湾の旅行会社を前に旅行新聞新社の石井貞德社長は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選は我われが40年前から開始したイベント。40年を記念し、今回の台湾でのプロモーションを企画した」と説明。「昨年は283万人、今年は1―3月ですでに77万人の台湾のお客様が日本を訪れており、皆様が送客していただいていることに感謝している。今日は山形から鹿児島までの選ばれた旅館が参加しているので、交流を深めていただき、より多くのお客様を日本へ招いてほしい」と語った。

 説明会では…

 

※ 詳細は本紙1587号または6月5日以降日経テレコン21でお読みいただけます。

政治と観光 ― 純粋な民間交流とは異なる印象

 日本人海外旅行者の伸び悩みが続いている。円安という要因は大きいが、近隣国への旅行者の大幅な減少も影響している。

 日本は自由な国である。外務省の渡航情報で退避勧告や渡航延期勧告に指定されたエリアでなければ、しかるべき手続きを踏んだうえであれば、基本的に世界中どこを旅行しようと、問題はない。

 旅行先を選ぶ際には、「憧れの国」や「料理の美味しい国」「危険の少ない国」「旅行中に心地よい思い出が作れそう」「笑顔でもてなしてくれる国」などは人気が高いだろう。

 日本は今、海外からの外国人観光客が多く押し寄せている。こちらも円安効果によるところが大きいが、決してそれだけではない。その国に魅力が必要であるし、安全性や、おもてなしの心がなければ、多くの外国人観光客は訪れない。ある意味で、厳しい国際競争である。紛争が起こったり、治安や衛生面などに不安があれば、外国人観光客の足は止まる。だから観光大国はそれらに気を遣いながら自国の魅力を大々的にPRするし、文化力も磨いていかなければならないし、国際的な関係にも細心の注意を払う。

 経済や人的交流が密接になるほどに、平和とは反対の方向に向かうケースが意外と多いというのは、観光業界の末席に身を置く者として残念であるが、事実である。経済は政治よりも、国境の壁は低い。「政冷経熱」という言葉があるように、たとえ国と国の関係が上手くいかず、緊張関係になったとしても、民間同士のつながりは簡単には切れない。企業はすでにグローバル化しており、政治的な国境線は無意味どころか、障壁にさえなっている。

 ビジネスを除く観光客は、もっと個人の事情によるもので、「危険」だと感じた国には進んで行かないし、「自分たちが良い印象を持たれていない国には、あまり行きたくない」というのは、自然な感情である。それでいいはずである。そして、そのような数字が現れている。

 「国際交流は大切か?」と聞かれれば、答えはYESである。「青少年の交流は増やしていくべきではないか?」と問われれば、その通りである。仮に「深い関係のある近隣国との政治的な関係が悪化し、交流が細くなっている状況にあるならば、民間が進んで交流を太くさせるべきではないだろうか?」と言われれば、首を横に振ることはできない。

 すべて「その通り」であるし、異論を差し挟む余地はない。なぜか。それは、正論だからである。

 正論は正しいから正論なのだが、正しいがゆえに、それを持ち出されてしまえば、誰も反論できないという欠点を持つ。それが権力者であれば、なおさらである。

 多くの日本人は、相互の国際交流の大切さを知っているし、「そうすべき」だとも思っている。それを百も承知のうえで、「そうしない」現状を、私は良識だと捉えている。充分に良識を持ち合わせた大多数の民間人が旅行を差し控えるには、それなりの考えや理由があるからであり、無理な修正は逆に危険な流れを生む可能性もある。

 今回3千人超の観光業界の観光文化交流団が訪中した。「民間交流」の言葉が強調されていたが、純粋な民間交流とは異なる印象を受けたのは、私だけだろうか。

(編集長・増田 剛)

派遣団3162人が訪中、人民大会堂で観光交流の夕べ

北京市の人民大会堂に3000人超の訪中団
北京市の人民大会堂に3000人超の訪中団

 日中観光文化交流団(団長=絹谷幸二氏)は5月22―24日の日程で、中国・北京市を訪れ、中国旅行社との商談会や、ファッション・観光・文化交流会、ビジットジャパンFITトラベルフェアなどさまざまなイベントを実施した。

 23日には人民大会堂に3162人の派遣団が一堂に会し、「日中観光交流の夕べ」を開いた。習近平国家主席も出席し、二階俊博自民党総務会長と握手をした=写真。また、絹谷団長が「日中交流に尽力していく」旨の民間宣言を行った。

3千人訪中団に期待、旅館の経営改善が急務、久保長官

 観光庁の久保成人長官は5月20日の会見で、5月22―24日に実施された3千人規模の訪中団「日中観光文化交流団」への期待を語り、自身の訪中予定について5月23日に北京へ入り、24日には河北省を訪問する予定を明かした。

 久保長官は「国と国の観光交流は双方向の交流が大事」としたうえで、今回の訪中団について「民間主導で約3千人が訪中することは、人的交流拡大に向けて分かりやすい具体的な取り組み」と評価。「訪中団をきっかけに訪中旅行者が増えることを期待したい」と話した。

 また、訪中スケジュールについては、「日中観光交流の夕べ」や「地方創生観光シンポジウム」の翌日24日には河北省を訪れ、河北省人民政府代表らと意見交換をする意向を示した。なお、河北省への訪問は、中国へのアウトバウンドが減少するなか、北京や万里の長城などの画一的なツアー以外の商品造成や、地方間交流などを視野に入れたものだ。

 観光庁は5月26日から、旅館・ホテルの経営改善に向けたオンライン講座「旅館経営教室」を配信スタートした。久保長官は「旅館はホテルに比べ、稼働率も下がり、施設数も年々減少している。多くの旅館ではこれまでの経験や勘に頼った経営が主で、経営の改善が急務」と現状を指摘。「多くの旅館にこの『旅館経営教室』を受けてもらい、生産性を向上し、経営改善に役立ててほしい」と語った。また、人員募集をしてもなかなか人が集まらない人手不足については、「旅館だけでなく、サービス産業全般にも言えること」としたうえで、「少ない人手で業務を行えるように効率性を上げる必要がある。さらに、最終的には経営改善により賃金を上げて待遇を改善していくしかない」と指摘した。

地熱開発緩和に反対、資源エネ庁などに要望(日本温泉協会)

資源エネルギー庁に手交
資源エネルギー庁に手交

 日本温泉協会(大山正雄会長)は5月27日、経済産業省資源エネルギー庁の上田隆之長官宛てに、「地熱開発のための国立・国定公園内の規制緩和に反対する」趣旨の要望書を手渡した(別掲)。大山会長と、佐藤好億・地熱対策特別委員長の連名で、「現在17カ所の地熱発電所の総電力は全体の0・3%に過ぎず、3倍でも1%に満たない。一方、地熱開発で温泉が枯渇した場合の雇用や地元経済の損失とは比較にならない」と反対の理由を説明した。

 5月20日には、大山会長や佐藤委員長らが環境省を訪れ、同様の趣旨の要望書を望月義夫大臣宛てに手渡した。 

環境省に要望書を手渡す
環境省に要望書を手渡す

          
 【要望書】
 地熱開発のための国立・国定公園内の規制緩和に反対します

 政府は2030年時点の電力供給シェアで再生可能エネルギーの割合を 20%台にする計画であると聞いています。このうち、地熱発電を現在の50万キロワットを約3倍の140万キロワットまで引き上げるために高温の火山性熱水が多く分布する国立・国定公園内の規制を緩和し、政府主導で地熱発電を多くの地域で開発する計画が持ち上がっています。すでに環境省は「国立・国定公園内の地熱開発に係る優良事例形成の円滑化に関する検討会」を持ち、今年7月ごろに結論を出すことを予定しています。

 1・我が国の地熱資源と利用について

 我が国は世界第3位の地熱資源量を持ちながら、その8割が国立・国定公園内の火山地域にあるので活かされていないという地熱発電側や資源エネルギー庁の意見があります。しかし、世界第3位の地熱資源量の数値自体が暖昧です。さらにその地熱資源量とは地下深部の地熱貯留層の体積と温度を掛け合わせた容積法によって30年間の発電量として推定されたもので、数十万年にわたり地下深部からの熱水や熱伝導によって地熱貯留層に蓄積されたと推定される熱量です。すなわち、これは周辺から絶えず供給されているにしても、多くが地熱貯留層内に閉じこめられている蓄積熱量ですから、再生可能エネルギーというより、石炭・石油に類似する「化石熱エネルギー」です。

 日本の地熱発電所は1力所でおよそ5万キロワットです。それに要する蒸気は150℃以上毎時500トンを必要とし、箱根・草津などの大温泉地の温泉の総熱量に相当します。

 地熱発電は温泉の源である地熱貯留層の熱水を深度1千―3千メートルの掘削井(生産井)で大量に湧出させるため、周辺の温泉地では、その影響と思われる「湧出量の減少」や「泉温の低下」などの温泉の枯渇化現象が報告されています。

 温泉地には観光や健康保持や癒しを目的に、年間1億2千万人の宿泊と数千万人の日帰りの利用者が訪れています。我が国の温泉は最古の「日本書紀」に記されているように1300年を超える歴史があり、地元産業と世界に冠たる温泉文化を育んでいます。また、温泉は訪日外国人観光客にも好まれ、観光立国を目指す21世紀の我が国の観光の重要な一翼を担っている貴重な資源であり、自然環境と一体です。

 温泉は日本人の好むものですから日本列島の至る所で開発・利用されています。そのため主に火山地域に分布する地熱資源の豊富な約190力所の主要温泉地でも温泉資源の利用はすでに限界に達しています。日本の温泉の総熱量は非火山地域のも含めると石油換算で年間900万トンで、原油輸入量の約5%に相当します。すなわち、日本は地熱を「温泉」として最大限に利用している世界有数の地熱利用国です。

 2・地熱発電の問題点について

 地熱発電は熱水が地下深部から上昇する過程で熱水から分離した蒸気で発電機のタービンを回転させています。蒸気は使用後、大気中に放出されますが、熱水は高濃度のヒ素などを含んでいるため還元井で地下に戻しています。熱水を地下に戻しやすくするためには、熱水から析出する物質が地層に目詰りを起こさせないため硫酸を混入させているので地下環境の汚染が起きています。この汚染された熱水が周辺の温泉地に湧出したならば、その温泉地に人は訪れなくなり、温泉旅館や観光産業のみならず、交通機関を含めた地元経済が壊滅的な状況に直面するでしょう。

 地表の自然環境は、とくに火山地域においては地下環境の結果です。地下環境が変化すれば、地表の自然環境はいずれ変化するでしょう。地表部の風致景観に影響のない開発や、傾斜掘削による地下開発であれば可能とする考え方は理解できません。また、地熱発電は地表のみならず、地下の大規模開発にも関わらず、地下で何が起きているか目に見えないため大きなリスクをはらんでいます。

 現在の17力所の地熱発電所の総電力は日本の水力や火力などによる総電力量のわずか0・3%です。たとえ3倍にしても1%にも達しません。その地熱発電が1億数千万人の温泉利用者と、数十万人の温泉関係者の雇用と地元経済、および観光立国としての貴重な自然環境資源と比較になるとは思えません。

 地熱発電は地球温暖化をもたらす二酸化炭素の排出量が石炭・石油火力より単位発電量当たり2ケタほど小さい利点を有していますが、発電量が全体の0・3%―1%未満なら総量に対する寄与率は小さく、むしろ有害な硫化水素などを危惧しなければならず、必ずしもクリーンとはいえません。しかも経済産業省の2015年度の試算によれば地熱発電は192円/キロワット・時と、水力、石炭・LNG火力、太陽光などより高価です。

 温泉の利用は地下の自然供給量、いわゆる再生可能エネルギーという概念を基礎としています。日本の温泉が1300年以上前から今日においても変わらず利用されていることがそれを証明しています。しかるに、地熱発電は自然供給量のみでなく、地熱貯留層の熱水と蒸気から分離した熱水を再び地下に戻す行為を含めての再生可能エネルギーという概念ですから、温泉の自然供給の熱水利用の概念とは似て非なるものです。

 3・温泉資源の保全について

 電力確保は国の重要課題ですが、一方で観光や福祉も将来にわたる重要課題です。温泉は有史以来、日本人に好まれ、保養や医療的効果が経験知として認められてきたからこそ大切に守ってきたものであり、老齢者の医療費削減にも大きく貢献しています。高齢化社会を迎えた今日、温泉の重要性は一層高まっています。

 繰り返しとなりますが、地熱発電所と主要温泉地は地下の火山性熱水を利用しています。主要温泉地でも多くは温泉資源の利用が限界に達しています。すべての資源は有限です。地熱資源といえどもその例にもれません。地熱発電能力を現在の2倍から3倍にするならば、新たな地熱発電所は最も有望な地熱水の存在する現在の温泉地に近づき温泉枯渇をもたらすことは大いに推測できます。

 4・まとめ

 我が国の多くの温泉は国立・国定公園内に存在し、規制と長年にわたり多くの人々の努力によって守られてきました。その温泉を、総電力の1%に満たない地熱発電のために失ってもよいのでしょうか。地熱発電の増加は将来に大きな負の遺産を残し、国家的利益の損失であることは明白です。

 以上により、一般社団法人日本温泉協会は、かけがいのない国立・国定公園の自然環境と温泉を守り後世に継続し、また観光立国のためにも地熱開発のための国立・国公園内の規制緩和に反対します。

伊豆半島ジオパーク

 今年9月の世界ジオパークネットワークの加盟を目指す「伊豆半島ジオパーク」。各地に点在するジオサイトでは、長い年月をかけて伊豆半島のジオ(大地・地球)が育んだ地層・岩石・地形などの貴重な遺産を学習・体感でき、ガイドツアー等も充実する。

 海あり山ありの伊豆半島を旅すると、なるほど道中で多くの奇妙な岩や美しい地層に出会える。今まで旅の途中、何気なく見過ごしていた海岸線や山肌の風景が旅の目的地として輝きを放つのだ。

 壺にも人の顔にも見える「ルビンの壺」ではないが、“背景”と思い込んでいたものが、実は見方を変えると“図”だったのかもしれない。そう思えてしまうほど、伊豆半島ジオパークには自然や歴史、文化など、伊豆の魅力がぎゅっと詰まっている。

【森山 聡子】

天然温泉表示制度見直し、現地調査難しく、新制度検討(日本温泉協会)

理事会のようす
理事会のようす

 日本温泉協会(大山正雄会長)は5月20日、東京都千代田区の全国旅館会館で15年度第1回理事会を開き、天然温泉審査委員会は天然温泉表示制度について、新規の審査と更新の申請を中止し、現行の制度のとりやめも視野に、見直しを検討していくと報告した。

 同制度はこれまで、基本的に書類による審査を行っていたが、より正確で公正な審査には1軒1軒現場での審査が不可欠な一方で、協会としては人的、資金的にも調査には限界があるのが現状だ。さらに、日本温泉協会が適性度などを「5段階」で評価した天然温泉表示看板を発行しているが、源泉と浴槽の泉質の変化などさまざまな難しい問題を抱えるなか、万一の不正などにも対応できず信頼問題にも関わるため、制度見直しの必要性が生じてきた。

 日本温泉協会では、現在貸与中の天然温泉表示看板の最新のものが5年間の有効期限を迎える2018年8月31日で同制度を中止し、これに代わり、協会加盟施設の保証として、新しいロゴマークを制定し、これを取り入れた会員証の制作なども一つの案として検討していく考えだ。5月20日現在、全国で天然温泉表示看板の貸与数は237施設・447枚だが、有効期限の5年ごとの更新を行わないために、6月1日には21施設・43枚減少し、216施設・404枚になり、18年8月末でゼロになる。