「カジノ法早期に国会へ」、東北に施設、復興財源にも

IR議連の古賀一成会長
IR議連の古賀一成会長

 日本でのカジノ合法化を目指し超党派で組織する国際観光産業振興議員連盟(IR議連、古賀一成会長)は、6月21日に総会を開き、これまでの各省庁からのヒアリングの論点をまとめ、議論。早い段階で、議員立法として国会への提出を目指すことで一致した。

 古賀会長は総会冒頭で「各省庁の誠実な議論に大変感謝している」と謝意を述べ、「国の経済再建の新しいスキームとして、国際的視野を持ち、国際観光産業振興のカジノを導入したい。今国会か来期かはわからないが、早い段階で議員立法実現を」と力を込めた。

 IR議連は、会長私案を基にこれまで実施した各省庁からのヒアリングをまとめ、刑法の賭博罪との関係、特定複合観光施設の公益性、カジノ管理機構の必要性、暴力団関係者の排除、カジノ従事者の許可の欠格要件、納付金の使途など論点を整理。「基本的な考え方に大きな異論や致命的な問題点はない」とし、議論を深め、早急に会長私案を改訂し、議員立法案として法案文確定を目指すという。

 

顧問の鳩山由紀夫前首相
顧問の鳩山由紀夫前首相

 総会出席の議員からは「収益の一部を震災の復興財源にあてるべき」「東北3県のどこかに国際観光産業としてのカジノ建設を」「マスコミを巻き込み、国民のコンセンサスが必要」などの意見が出た。カジノの収益金の一部は地方公共団体と国に納入する仕組みにし、震災の復興財源に充てることができる。宮城県出身の議員は「東北にカジノを作るのはありがたい」と話し、「復興のシンボルとして、一定の復興目途がついたところで導入してはどうか」などの、地元からも歓迎する意見が上がっていることを報告。「県議会からは古賀会長にぜひ説明に来てほしいという声がある」と紹介した。

 

 IR議連顧問の鳩山由紀夫前首相は「IR議連は超党派であることを活かして、それぞれのメンバーが各政党に持ち帰り、しっかりと説明し理解を得ていかなければいけない。さらに国民のコンセンサスも得て、早く議員立法できるように」と語った。

 カジノは現在、中国やマカオ、シンガポールなど120カ国以上で合法化。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中、カジノを導入していないのは日本を含む3カ国だけと、先進国のなかでは珍しい。カジノ導入による観光客増加も見込め、世界では観光客の誘致合戦が激化している。

池田社長が再任、東北から着地型商品多数

再任の池田孝昭社長
再任の池田孝昭社長

 株式会社全旅(池田孝昭社長)は6月15日、東京都港区の品川プリンスホテルで第38期定時株主総会終了後に懇親会を開き、旅行会社やクーポン受け入れ施設、保険会社など約150人を招いた。

 

 池田社長は、「2010年度は大震災があったが、過去最高の数字を確保することができた。震災後、東北地方からは着地型商品を多くいただいたが、支援ツアーで多くの人が被災地を訪れ、少しでも元気にしていかなくては」と力を込め、「旅行会社と旅館は車の両輪。地域と手を握り、一人でも多くの送客で日本を活性化していこう」と語った。

 来賓の全国旅行業協会の二階俊博会長は「目標を立てて努力することが大切。大変な時だが、オールニッポンで皆が立ちあがり、それぞれの地元でがんばっていこう」と呼びかけた。

新役員一同
新役員一同

 また、今年度から損害保険ジャパンと三井住友海上火災保険が株主になった。代表して損害保険ジャパン営業開発第一部の長谷川完部長が登壇。「全旅とは共存共栄。株主になったので異体同心ならぬ、同体同心。全旅で保険制度が普及できるよう努力していきたい」と話した。

 新役員は以下のとおり

 【社長】池田孝昭【副社長】大原秀雄▽兒島武【取締役】佐藤達雄▽佐藤好徳(新任)▽浅子和世(新任)▽坂入満▽青木利道▽萩原敏和(新任)▽吉村実(新任)▽近藤幸二▽明神勲生▽中間幹夫(新任)。

No.284 ―全国旅館おかみの集い― 初の九州開催 盛大に

―全国旅館おかみの集い―
初の九州開催 盛大に

 「全国旅館おかみの集い」(第22回全国女将サミット2011福岡)が6月28日、福岡県福岡市博多区のグランド・ハイアット・福岡で盛大に開かれた。テーマを「今心をひとつに 続けよう、全国に仲間がいるから」に掲げ、初の地方開催ながら、全国から100人の女将が参加した。また、今回は基調講演・全体勉強会、懇親パーティーには一般参加も募り、基調講演・全体勉強会には120人、懇親パーティーには200人が出席した。(6、7、8、9、10面に関連記事)

【本紙取材チーム】

女将のための 女将による 女将の会議

 全国から100人の女将が集い、盛大に開かれた「全国旅館おかみの集い」。主催者あいさつに立った有村政代運営委員長(熊本県・清流山水花 あゆの里)は「今回は来たくても来られなかった方が大勢いらっしゃる。開催をどうしようか大いに悩んだが、西日本から東日本を応援しよう、できる人でできることをしようと考え、『今心をひとつに 続けよう、全国に仲間がいるから』をテーマに続けることを決めた。皆さんの温かいお気持ちに触れ、女将さんのネットワークは素晴らしいものだとつくづく感じた」と会に込めた思いを語った。「女将は日本文化の象徴でもある。女将を通じて日本を元気にしたい。観光業が元気でなければ日本はダメになると思う。皆さんで一致団結して盛り上げていきたい。今日は悩みを打ち明け合い、お互いに元気をもらいましょう」と呼び掛けた。

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 特別運営委員の石井貞徳旅行新聞新社社長は、「先の震災で人の輪、家族、皆さん方のようなネットワークが非常に重要だと痛感した」とあいさつ。また、集まった女将を前に「今回は運営委員も少人数だったが、大いにがんばっていただき、まさに一人ひとりの輪でこういう形に開くことができた。日本全体が大変なときだが、後ろを向いても何も解決しない。前を向き努力をして頑張ることが、我われ観光業界には大切なこと。心の底からの笑顔で、お客様を迎えれば皆さんにも返ってくる」と激励した。

※PDFで開きます
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※ 詳細は本紙1426号または日経テレコン21でお読みいただけます。

復興担当相辞任 ― イノチガケで東北復興を(7/11付)

 松本龍復興担当相が7月3日、村井嘉浩宮城県知事と面会したときの、松本大臣の異常な目線の高さに違和感を覚えた。まるで江戸の将軍が地方に赴いて、弱小大名におどしをかけ、命令を下す構図そのままだった。 2日後に松本氏は辞任した。一部には、松本氏の実績や手腕を買う声もあったようだが、1千年に1度といわれる東日本大震災の復興担当相として、やはり最適の政治家ではなかったと思う。スタートから不協和音が出るようでは、先が思いやられる。辞任は早くて正解だ。後任の平野達男大臣に期待をかけるしかない。
 そもそも、東北地方を中心とした地域の復興担当相に、九州出身者の松本氏が任命された時点で、私は少し首を傾げた。その後も問題となったが、本当ではなかったにしろ「九州の人間なので東北の市町村が地図上どこにあるかわからない」といったような発言はすべきではなかった。おそらく東北出身の政治家だったら、そんな気の抜けた発言は考えられない。菅直人首相の任命音痴ぶりも露呈した。
 各地方には1千年、あるいは2千年をかけて築き上げた独特の文化や、風土がある。そこで生まれ育ち、生活をしている人間でしか理解し得ないものがあるはずだ。震災後数カ月、東北支援や復興の仕事に携わったくらいでは、知りえない奥深い伝統やしきたりなどもある。仮に九州で大震災が発生し、復興担当相に北海道の政治家が就任したとしても、しっくりとこないはずだ。
 本来なら、東日本大震災の復興担当相は、東北出身の政治家で、それも「イノチガケ」で復興に取り組める政治家でなくてはならないと思う。
 もしそのような政治家が日本にいないとしたら、こんな悲劇はない。
 生涯地元を離れず、足尾銅山鉱毒事件を告訴した田中正造のように「私欲」を捨て、イノチガケで地域の人々の暮らしを守る政治家が少ない。もちろん、私欲を捨てることなど、誰にでもできることではない。だが、現職の政治家はこの難しい仕事を自ら立候補して、名乗りを上げたはずだ。
 東北の文化や自然、人の営みを愛して止まない政治家が、イノチガケで復興に取り組める日本という国になればいいと願っている。

(編集長・増田 剛)

まってます!東北、首都圏で東北の元気発信

 青森県内の観光業関係者は7月1日―3日、トラベルゲート新宿など首都圏のJTB店舗前で「まってます!東北」誘客イベントを行った。東北震災以降、地域経済活動が停滞し、観光業はとくに深刻な被害を受けている。「旅行で東北を訪れてくれることも復興支援の1つ」と通行人に夏の東北旅行を呼び掛けた。パンフレットの街頭配布のほか、津軽三味線生演奏、りんごジュースの試飲などを行った。イベントには青森市や弘前市、八戸市、黒石市、十和田市、三沢市、むつ市、七戸市、青森県観光誘致協議会、青森県観光連盟の関係者が参加。青森県のマスコットキャラクター「いくべぇ」は、青森ねぶた祭りの「らっせいらあ、らっせいら」の掛け声にあわせ、軽快なステップを披露し、通行人の視線を引き付けた。

 青森県観光連盟観光振興部誘客宣伝課の稲田勲主査は「東北の先端まで行くことで、東北全体に効果が生まれる。青森は元気です。県内の夏祭りは例年通りすべて開催。ぜひいらしてください」とPR。十和田湖観光汽船の松橋泰彰社長は「夏に前年の6割、秋に8割までお客さんがもどるのを期待し、頑張っている。東北に元気をください」と語った。

 イベントは今週末も実施予定。7月8日はJTB蒲田店(オープン―昼過ぎ)、JTB横須賀店(午後―夕刻)、9日は、トラべランド大船イトーヨカドー店(終日)、10日は、トラベルゲート横浜(オープン―昼過ぎ)、JTB川崎店(午後―夕刻)。

涼感イベント満載!マザー牧場でサマーフェスタ

 マザー牧場(千葉県富津市)は、7月16日~8月31日まで「夏を涼しく楽しむ!」をテーマにサマーフェスタを開催する。

 巨大なビーチボールの中に入り、水の上を歩く「ウォーターバルーン」や、時間になると芝生の上に現れる「水のトンネル」など水を使ったアトラクションを展開。暑い夏を涼しく楽しむことができる。

 また、期間中は人気イベント、アヒルの大行進も水浴びバージョンとして登場。オアシス目指し、水しぶきをあげて全力疾走するアヒルたちを見ることができる。

 ほかにもブルーベリー摘みや藍染め体験など、子どもと一緒に楽しめるイベントも用意されている。

会長に福田朋英氏、宿泊販売目標は3300億円

福田朋英新会長
福田朋英新会長

 JTB協定旅館ホテル連盟(小田禎彦会長、4123会員)は6月8日、舞浜のシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)で2011年度通常総会を開き、任期満了に伴う役員改選では会長に福一(群馬県伊香保温泉)の福田朋英氏が選ばれた。

 3期6年を務め上げた小田会長は「中長期的に見て、旅ホ連の在り方は曲がり角に来ている。しっかりと足元を見つめなおし、(1)宿泊予約の増加(2)人材育成(3)組織の安定・強化に力を入れていかなくては」と語った。

 10年度の宿泊販売実績は、前年度比2・7%減の3260億円と3年連続目標未達に終わった。旅ホ連名誉会長のJTB田川博己社長は「震災前までは、目標の3500億円にギリギリ到達できそうなところまで来ていたが、震災でストップしてしまった」と話した。今年度の目標は1・2%増の3300億円と設定。「震災の影響を考えれば非常に厳しい数字だが、がんばらねば」と力を込めた。

 JTBは今年度初めて、受地目標を各グループ会社に設定し、受地事業を会社目標に掲げる。田川社長は「発の収益の一部を受け地に回し、本格的に力を入れ、地域密着ビジネスとして展開していく」と語った。

 今年度は「ニッポンの元気な旅」キャンペーンや、長期滞在旅行に力を入れる。小田会長からバトンを渡された福田新会長は、(1)予約の早期化(2)個性のある観光地づくり(3)新しいライフスタイルの提言の3つを取り組み課題にあげ、「どこかのオリジナリティを真似るのではなく、グローバルネットワークのなかで選ばれる魅力ある観光地づくりをしていかなくては」と抱負を語った。

 そのほか役員改選では、JTB取締役旅行事業本部長の髙橋広行氏と、ホテル双葉の小林庄一氏(新潟県、越後湯沢)が副会長に、JTB常務取締役の髙橋威男氏が専務理事に新たに就任した。

 来年の総会は6月6日にホテルイースト21東京(東京都江東区東陽)で開かれる。

無秩序な地熱開発に反対、新会長に廣川氏

瀧多賀男会長
瀧多賀男会長

 日本温泉協会(瀧多賀男会長、1505会員)は6月23日、山梨県甲府市の湯村温泉「常盤ホテル」で2011年度会員総会を開き、温泉資源保護の立場から、無秩序な地熱開発に対しては協会として反対していくことを確認した。任期満了に伴う役員改選では、新会長に廣川允彦氏(松川屋那須高原ホテル)が就任。また、4期8年会長を務めた瀧会長は名誉会長に退いた。

廣川允彦新会長
廣川允彦新会長

 瀧会長は「原発事故以降、エネルギーとして温泉資源の価値が注目されている。しかしながら、地熱発電所の周辺では温泉源の影響の事例も報告されている。我われ協会も20数年前に欧州、とくにイタリアの地熱発電を視察するなど研究を続けるなか、短期には温泉源への影響がなくても長期的には影響があるとみるべき」とし、「温泉資源の保護の立場から既存の温泉地周辺の無秩序な開発には反対してきた。この問題は地域全体の総意が必要。協会としては全国から引き続き情報収集を行い、地熱対策特別委員会で検討をしていきたい」と語った。

 新公益法人制度への移行については、協会の財政が逼迫しているなか、会員のメリット、自由な事業活動を展開し収益を上げていくためには規制の比較的緩やかな一般社団法人を選ぶべきとの観点から、13年4月1日を目途に一般社団法人に向けた移行手続きを進めていくとした。

 次回総会は、長崎県雲仙市の雲仙温泉での開催を決めた。

竹村節子氏
竹村節子氏

 総会後の基調講演には旅行作家の竹村節子氏(現代旅行研究所専務)が基調講演「日本を元気にするのは温泉から」を行った。竹村氏は「無秩序な地熱開発反対という立場は非常によく理解できる。しかし、東日本大震災発生後、国民はパブリックにものを見るようになってきた。ただ、反対のスローガンだけでは誤解を受ける。なぜ反対なのか、その理由を明確にアピールしていかないと、多くの国民から単なる利権を確保しているだけではないかと受け取られかねない」とアドバイスした。

 
 
 
 
 

小笠原諸島と平泉、世界遺産に登録決定

 6月19―29日、フランスのパリで開かれた第35回ユネスコ世界遺産委員会は小笠原諸島(東京都小笠原村)と平泉(岩手県平泉町)の世界遺産登録を決定した。
 小笠原諸島は、これまで大陸と地続きになったことがない海洋島として動植物の独自の生態系が見られることなどが評価され世界自然遺産に登録。平泉は中尊寺金色堂に代表される遺産群が仏教の浄土信仰思想を現生に象徴的に明示しているとして世界文化遺産に登録された。今回の2件を加えて、日本の文化遺産は12件、自然遺産は4件となった。

訪日客5割減減少幅は縮小、JNTO

 JNTOが発表した2011年5月の訪日外客数推計値は、前年同月比50・4%減の35万8千人。東日本大震災翌日の3月12日から3月末までが73%の減少、4月は同62・5%減と、減少幅は徐々に縮まっているが、依然として半減の状態にとどまった。
 5月の減少幅を4月と比べると、15ビジット・ジャパン(VJ)事業対象市場国・地域のなかではインド以外すべて減少幅減と改善。とくに台湾・タイ・シンガポールの改善幅が大きい。
 6月17日の会見で間宮理事長は「被災地以外は各国の渡航自粛もほとんど解かれたので、これから回復のスピードは上がってくるのでは」と期待。「震災前と同じ水準となると年単位の時間を要する可能性もあるが、市場ごとに見ていくと回復がかなり早いところも出てくるのではないか」と話した。
 各市場の動向をみると、韓国は、沖縄・九州・関西方面は戻りつつあるが、関東方面への戻りが遅く、夏には前年の5割、秋には7―8割、冬には前年並みの水準に戻ると推測。中国は放射能汚染への心理的恐怖が根深く、子供連れの家族旅行の需要回復が鈍いとみる。7月の沖縄への個人観光数次ビザの条件付解禁のプラス要因に期待。台湾は北海道や立山黒部ツアーなどの格安旅行の予約が好調だが、放射能汚染、夏場の計画停電への不安感が大きく、渡航控えは当面継続するとみる。訪日外客数のカギを握る中国市場については「今年中の回復は難しいだろうが、秋の国慶節が1つのポイントになる」と語った。
 出国日本人数は、前年同月比8・4%減の115万6千人で、3カ月連続の減少となった。