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日本がつながる ― 観光PRは世界を視野に

2014年6月11日
編集部

 舞鶴若狭自動車道の小浜IC―敦賀JCT間の約39キロが7月20日に開通する予定だ。これにより同自動車道は、吉川JCT(兵庫県三木市)から敦賀JCT(福井県敦賀市)まで約162キロが全線開通する。NEXCO中日本によると「中国自動車道、名神高速道路、北陸自動車道と一体となって、近畿・北陸・東海地方の広域ネットワークを形成するとともに、若狭地域の観光促進、産業振興にも大きな役割を果たす」としている。来年3月には北陸新幹線が開業し、東京―金沢間が最短で約2時間半で結ばれる。首都圏から「心理的に遠い」と感じられていた北陸エリアだが、多方面で鉄道や高速道路が結ばれることで、今後さまざまな広域観光ルートの設定が可能になる。

 日本国内は急速につながりつつある。今年3月には、東九州自動車道が宮崎県内で全線開通した。伊勢自動車道から接続する紀勢自動車道の勢和多気JCT―尾鷲北ICも全線開通した。北では、15年度末までに北海道新幹線(新青森―新函館間)の開業も予定され、“ミッシングリンク”と呼ばれていた地域を含め、日本全国が一本に結ばれようとしている。

 石川県の能登半島の先端にある珠洲市と新潟県の佐渡島は世界農業遺産の認定地域同士で、5月から7月まで高速船のチャーター便を就航させている。北陸新幹線開通を睨み、周遊型観光へつなげていきたい考えだ。

 陸路だけでなく、空はLCCによる新規路線が増え、海路は船による新たなネットワークが結ばれつつあるのは、「廃線」「撤退」などのニュースとは違い、観光産業においては、うれしい動きである。

 舞鶴若狭自動車道がまもなく開通することを受け、福井県では、旧北陸本線(敦賀―今庄間)隧道はかつてSLも走った11基のトンネル群が産業道路として存在しているが、これを観光利用しようと、「ガイドとめぐる近代化遺産バスツアー」なども企画している。これまであまりスポットの当たらなかった観光資源を活用したツアー造成の試みは歓迎したい。同エリアには、北前船の寄港地としての歴史があり、その後、鉄道が開通したことで北前船が廃れ、今はその旧北陸本線隧道が遺産となっているのが面白い。福井県観光振興課の吉川英児主査も「歴史的なストーリーを前面に出していきたい」と話す。

 高速道路や新幹線がつながることで、地域に産業振興や観光客増大の期待が集まる一方で、大都市や人気観光地間の単なる通過地点になってしまう恐れもある。ストロー現象として、より大きな都市に地元の若者が吸い上げられる危惧もある。

 だが、世界に目を向ければ観光客が爆発的に増え続けている。道路や新幹線がつながれば、東京や大阪を訪れた外国人旅行者が足を伸ばす可能性も高まってくる。もはや観光PRは日本国内だけを見るのではなく、世界を視野に行う時代へと変化している。2027年の開業を目指すリニア中央新幹線東京―名古屋間では、長野県飯田市や岐阜県中津川市周辺などに駅の設置が予定されており、予定地周辺では早くもリニア開通後の地域活性化や観光振興に大きな夢を馳せている。

 時代が移り変れば、交通網も変化する。時代の動きと呼応しながら、過去、現在、未来を見据えた地域づくりが大切である。

(編集長・増田 剛)

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