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グローバル戦略を重視、営業益3倍の100億円へ

4月25日の会見で(国交省)
4月25日の会見で(国交省)

JTB・高橋広行新社長 20年に向けて

 JTBは6月30日付で田川博己社長から高橋広行常務に社長交代する(既報)。4月25日には国土交通省で会見を開き、高橋新社長は、グローバル戦略を重視し、社員の海外派遣や担当要員の増強をはかり、2020年までにグローバル事業の営業利益目標を現在の3倍の100億円に定めた。国内は地域分社化の強みを駆使し、地域活性化面を強化する。
【丁田 徹也】

 田川社長は「2008年に社長に就任して、リーマンショックや東日本大震災など厳しい時期を経験したが、デスティネーションマネジメントや交流文化事業は順調で、06年からの分社化による構造改革も同時に進めてきた」と振り返った。会長就任については「今後は世界とのつながりのなかで政治的・経済的・戦略的関係を作ることが仕事だ」と述べた。また、高橋氏を後任に選んだ理由として「長期経営計画は順調に推移しているが、20年までに完成させるには相当な馬力が必要」とし、「(高橋氏は)旅行事業本部長として苦しかった11年を乗り切ってJTB西日本の社長に就任しており、徳島出身で地域も良く知り、交流文化事業やDMC(デスティネーションマネジメントマンパニー)の流れも充分に理解して進めてくれると確信している」と期待を語った。

 これに対し、高橋新社長は「営業部門・管理部門・現場、地方・東京都と幅広い経験が私の財産で、これを活かした経営をしていきたい。佐々木会長と田川社長の経営理念とグループビジョンを踏襲し、策定段階から関わっている2020年ビジョンの道筋を確固たるものにすることが最大の使命」と意気込みを語った。

 高橋新社長は「今後は日本を起点とした2国間取引の『ツーウェイ』から、拠点を各国に置いて多国間の取引を対象にした世界発―世界着の『マルチウェイ』にシフトする」と述べ、「グローバル人材の育成が急務で、16年までに200人の現役社員を在外拠点に派遣して育成する。また、20年までにグローバルの担当要員を現在の4700人に対し、さらに3500人を上積みし、グローバル事業の営業利益ベースを現在の3倍の100億円にする」と目標を語った。

 新社長の経営戦略

 高橋新社長は経営戦略について(1)事業戦略(2)組織戦略(3)グローバル戦略(4)都市戦略――に分類。

 事業戦略は「交流文化事業を強力に進め、20年までに完成形を目指す」と述べ、事業領域の拡大として、「旅行業の枠組みを超え、人やモノの『交流』を切り口にしたビジネスモデルへの転換をはかる」方針だ。

 組織戦略では分社体制を維持し、「求心力と遠心力をコントロールしながらグループ経営体制の進化形を目指す」とした。例として、全国に分散する仕入れ造成部門を統合し、4月に事業会社化したJTB国内旅行企画を挙げた。求心機能の一方で、地域密着や独自性の強化のための遠心力と見極めながら組織力を強化する。

 グローバル戦略では、2020年ビジョン達成の鍵を握るアジアを中心とした市場に取り組む。これまで国内で取引していた企業が海外展開をしたことで流出した需要を取り込むことや、アジアの今後の需要を補足するためにアジア市場に打って出る方針を強調した。

 都市戦略は、グローバル戦略やWeb事業、差別化戦略を強化するために積極的に取り組む。

 これまでとの大きな違いに、旅行市場を「国内市場」と「グローバル市場」に2分割し、各事業の方向性を明確化させて展開することを挙げた。

 国内市場はさらに成熟し、人口も縮小するため、シェア拡大や事業の創造など質の転換をはかる。また、都道府県と一体化して地域に埋もれている資源を磨き上げ、地域活性化に取り組む。

 グローバル市場は、取扱量の拡大を目指し営業拠点を整備・拡充する。現地企業とも業務・資本提携し、市場の特性に柔軟に応じていく。急速な拡大が予想されるアジアからの訪日インバウンドに対しては、国内の受入体制や在外拠点の販売ネットワークの整備を進める。

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