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リョケン「ポストコロナの経営とは」、オンラインセミナー開く テーマは「高収益経営へ Chance to Change!」

2020年12月16日
編集部:長谷川 貴人

2020年12月16日(水)配信

リョケンの佐野洋一社長

 リョケン(佐野洋一社長)は12月10日(木)、「令和3年 旅館の経営指針発表」のオンラインセミナーを開いた。今回は新型コロナウイルスの影響で、従来の「旅館大学セミナー」から変えて、オンラインによるウェビナー形式で開講した。旅館・ホテルの経営者や役員、幹部社員などが参加し、持続性ある「ポストコロナ時代」の旅館経営の在り方を考え、存続価値の再点検と付加価値の幅を広げるビジネスモデルを探った。

 基調講演では、「高収益経営へ Chance to Change!」と題し、リョケンの佐野社長が講演を行った。コロナ禍での経営対応や、高収益経営への戦略、旅館の経営者がやるべきことなど、ポストコロナへの転換に向けた旅館の経営指針を語った。

 まず、観光業界をとりまく動きを前提認識として確認した。コロナ禍で世界的にデジタル化が加速し、シニア世代のITリテラシーも高まりつつあるため、今後はデジタルの活用は避けて通れない必須のものと指摘。あわせて、インバウンド需要が当面期待できない現状、「国内市場の取り込みをいかにはかれるかが課題」との認識を整理した。

オンラインセミナーのようす

 佐野社長はコロナ禍で「今起きている変化を認識してそれを客観視し、今とるべき経営対応の指針に落とし込んでいくことが大切」。コロナ禍から学んだ経験と教訓を生かし、「転んでも(コロナでも)ただでは起きない経営を目指してほしい」と呼び掛けた。

 他方で、コロナ禍により経営ビジョンや独自価値、生産性向上の取り込みなどが棚上げになっていないかと投げ掛けた。人々の価値観がさまざまな面で変化し、これまでとは違う商売発想やさまざまなニュービジネスのほか、社員の危機意識の高まりで引き締まりムードが生まれている。今こそが体質転換のチャンスであると強調した。

高収益経営に向けて、あえて高料金化を提言

 このうえで、来年に向けて提唱したいテーマの「高収益経営への戦略」のうち、最大のテーマは「高付加価値戦略」であると伝えた。付加価値生産性を高めるためには、十分な粗利益率を確保することと説明。そのための戦略として、あえて「高料金化戦略」をはかることを提言した。

 宿泊業は1日の販売数(客数)に限りがあり、大規模施設でないと薄利多売が成り立ちにくいと指摘。旅館業の価格弾力性もそれほど高くないため、もっと付加価値を意識する経営をしていくべき考えを示した。

 高料金化を目指すための方策として、①品質重視経営②個客重視戦略③ターゲット転換戦略④コンセプト転換戦略――の4つの戦略方向を提言した。ただし、いずれも高料金化に結び付くか吟味して進めなければ、自己満足に終わる場合もあると注意喚起した。高収益経営に取り組むに当たり、「目指す姿からの逆算」が不可欠と示唆。全部を少しずつ良くしていく経営に戦略性はなく、目指す姿をハッキリと定めて変えていくことが大事と力を込めた。

 旅館の経営者が今やるべきことは、短期と中長期の両方の視点で経営を考えることだと語った。「短期はあくまでもオペレーション。(経営者は)大局的な指示出しだけとし、各部門の責任者に任せる体制を整えてほしい。そのうえで、中長期の『経営の骨組み』を見つめ直すこと。それはコロナが終わってからでは遅い」。

 最後に改めて、ポストコロナへの経営転換について、今まさにきっかけとすべきときではないかと呼び掛けた。「①戦略的経営に踏み切るチャンス②新しい発想を取り入れるチャンス②社員の意識と結束を生かすチャンス――。このようなチャンスを生かして、高収益経営への変革に踏み出してほしい」と締めくくった。

21年は「リ・モデル」、6つのテーマ別講演も

 「経営計画『リ・モデル』の年~『量』から『質』へ」と題したテーマ別講演も実施した。6つのテーマごとに研究員が講演を行い、具体策を提言した。

 1つ目の「経営計画『リ・モデル』の年」では、浜荻仁志常務が講演を行った。「リ・モデル」とは、今までのやりかたを改めて、収支バランスの改革を目的とする新しい事業モデルを創造するという意味と説明。経営に関わるすべての面で、「量」から「質」重視を追求していく考え方に変えようと呼び掛けた。

 環境変化による最大の変化は、旅行形態が「個人客主体(コマ化)が加速したこと」と話し、近年の個人客へのサービス対応に変化すべきと指摘。浜荻常務は「お客様のニーズは常に変化している。商品や販売の在り方も変化しなければ生き残れない。経営の本質は変わらなくても戦略、方針、商品やサービスの形態は変わり続ける。改めて実践する年に」と締めくくった。

 2つ目の「商品のリ・モデル」では、鈴木健太研究員が講演を行った。高収益戦略の追求に向けて、提供側の理由だけの価格アップはそれに見合う「品質」が伴わなければ購入してもらえない時代と指摘。これまでのサービスから単純に削るだけでは品質のダウンになる、「高く売るための工夫や仕掛けを考える」という視点で、設定や対応を考えること意識するようにと強調した。

 3つ目の「『料理のリ・モデル』のすすめ」では、長島晃本部長が講演を行った。旅館の料理について、先入観や既成概念があるのではないかと指摘。卓上料理やケータリングなどの新しい形式を提案したほか、お客の滞在シーンに合った料理を方針に立て、もう一度自館に合った料理を確立してほしいと語った。

 ほかにも「業務運営」「自力販売戦略」「組織管理のリ・モデル」の講演を行ったほか、リョケンが今年に新たな商品整備を行った旅館を事業事例として紹介した。

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