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〈旬刊旅行新聞7月21日号コラム〉ウィズコロナ時代の観光 受入側より大事な「訪問者の礼儀」

2020年7月21日
編集部:増田 剛

2020年7月21日(火) 配信

ウィズコロナ時代の観光はどうなるのか

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない。7月16日には Go Toトラベルキャンペーンの割引対象から東京都発着の旅行が除外された。観光業界でも意見が分断され、心理的なストレスは大きくなるばかり。

 
 経済活動や文化活動を続けながら、新型コロナウイルスと付き合っていかなければならない“ウィズコロナ”の時代がこれから先、長い間続いていくことを実感している。暗い気分になるが、これが現実だ。

 

 
 ウィズコロナ時代の観光はどうなるだろうか。

 
 旅行会社や宿泊施設などは、業界団体が定める対応ガイドラインに沿って、それぞれが工夫しながら旅行者を安心・安全に受け入れていく努力をしている。だが、もっと努力が必要なのは、むしろ旅行者の方だ。

 
 医療体制が不十分な地方自治体では、感染者が出てしまうと医療崩壊の危険性が一気に高まる。このため、東京都など感染が拡がるエリアからの旅行者を望まないという心理は、理解できる。

 
 「苦境にある観光産業の回復は絶対に必要だが、今はたくさんの旅行者に来てほしくない」と、複雑な感情に胸を痛める首長も多いだろう。

 
 旅行者への批判も高まっている。その多くは、「電車や飲食店などで大声を出してしゃべっていた」や「マスクをしていない」など、周囲の人に対しての配慮が足りない部分が指摘されている。

 
 これらは、コロナへの向き合い方にとどまらず、すべての姿勢に当てはまる。

 

 
 海外を訪れたときに、周りの雰囲気から浮いて見える日本人を見掛ける。少し恥ずかしくなり、我が身を戒めることが多々あった。そうかと思えば、どのような異国の地でも、すっかり周囲の空気に溶け込んだ日本人のビジネスマンや、旅人も目撃した。そのたびに、どの旅先でも、自らの「異質さ」を強調するのではなく、訪れた土地に自然なかたちで調和した存在になりたいと感じたものだ。

 
 日本の山奥深い秘湯の宿などで、「欧米豪からの旅行者は歓迎だが、アジア圏のあるエリアの旅行者はあまり来てほしくない」といった声もしばしば耳にした。

 
 人種差別的にも聞こえるが、そうではない。欧米人は旅人としてのマナーを心得ているために、極東の島国にある山奥の一軒宿を訪れたときにも、どのような振る舞いをすれば、見た目が異なる自分の存在が調和を壊さないかを考えて行動している。だから、たとえ言葉が通じなくても、宿主と旅人との間に信頼が生じ、異質な感じを与えることがないのだと思う。

 
 反面、受入側のしきたりや文化を無視して、あたかも自分の国にいるかのように外国語で叫んだり、身勝手な行動ばかりが目立つ旅人を、誰が迎え入れたいと思うだろうか。

 

 
 私も旅をするとき、受け入れていただく側に掛けてしまう迷惑は最小限にしたいと身を引き締める。誰かの家や、取材で企業を訪れるときもそうだ。それが「訪問者の礼儀」だと認識している。

 
 コロナ禍であれば、マスクをしたり、消毒をしたり、人がいる場所ではあまり喋らないなど、できる限りの努力をする。地域の人たちに迷惑を掛けず、わずかなお金だが、その地に落としながら、楽しく旅をしたいと思う。

 

(編集長・増田 剛)

 

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