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13年に訪日外客1000万人達成 ― 心理面で“国際化”のメッセージに

2014年1月1日
編集部

 2013年は、6月に富士山の世界文化遺産登録、9月には2020年東京オリンピック開催決定、そして12月には「和食」のユネスコ無形文化遺産登録と明るい話題が続いた。個人であれ、地域であれ、国であれ、他者から高い評価を受け、認められることは、心地良い充足感が得られる。しかしこれら当事者にとっては、心地良い充足感というレベルではなく、「ようやく勝ち取った!」という強い達成感を得たのではないか。

 年の瀬に、ホテル・旅館の固定資産評価の下限までの経年数が、50年から45年に短縮されることが決まった。これも、根気強く訴え続けた宿泊業界の努力の成果であり、まさに減税を「勝ち取った」ものである。

 そして、観光業界にとって13年は大きな達成感を共有した。「史上初めて訪日外国人客数1千万人を達成した年」として観光史に記録されるだろう。

 さて、一定の達成感を得たあとの2014年はどのような年だろうか。カレンダーを見ると、2月にはロシア・ソチで冬季オリンピック、6月中旬から約1カ月間は、ブラジルでサッカーワールドカップが行われる。世界的なビッグイベントが開催される年であり、世界中で旅行ムードも高まるはずだ。

 国内の話題としては、3月に大阪市に日本一の超高層複合ビル「あべのハルカス」が開業。また、羽田空港の国際線発着枠が年間6万回から9万回に拡大する。4月には岩手県三陸鉄道が全面復旧する予定だ。一方、4月から消費税が5%から8%に変わることで、「消費の停滞を招くのではないか」という心配の声も観光業界では大きい。さらに、増税直後のゴールデンウイークの日並びの悪さも、旅行動向にどう影響するか気になるところだ。

 「14年は訪日外客数2千万人を目指すスタートの年」と久保成人観光庁長官は語っている。1千万人という大きな壁の前に日本は長年立ち尽くし続けたが、この一線を超えると、2千万人に向けてどんどん前進していくと見る。現状では中国、韓国、台湾の占める比重が大きいが、近年は経済発展の著しい東南アジア諸国との政治や経済、文化、人的交流の拡大へと、日本政府も舵を切っている。これら地域では、日本への旅行は人気が高いし、今後LCC路線がさらに拡大していくと、訪日外国人2千万人達成もそう遠い未来ではないと思う。

 また、13年に達成した1千万人突破は、外国人の受入れを躊躇している地域の宿泊施設にも、観光の国際化が現実的なものになったという、心理面での強いメッセージとなるはずだ。

 世界中の人が自由に旅ができるようになる“大交流時代”が迫りくるなか、世界的な人気観光地は「人気観光地であるがゆえに訪れることが困難になる時代を迎える」という説も現実味を帯びてきた。日本でも桜や紅葉の名所は、最盛期には混雑で訪れることは難しい。世界遺産登録された富士山も、多くの観光客が期待される反面、入山料徴収による入場抑制の動きが出ている。人気観光地と、そうではないところとの2極化もさらに進む。観光の国際化が進めば、これまで想定しなかった問題や課題も現れてくる。

 新たなステージに入った14年は、誘客最優先ではなく、皆が知恵を絞って、高度な課題に立ち向かっていくスタートの年でもある。

(編集長・増田 剛)

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