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薬剤耐性菌を国内に持ち込まないために 国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンターが注意喚起

2019年7月19日
営業部:後藤 文昭

2019年7月19日(金) 配信

現地ではまめに手を洗うなどの注意が必要(写真はイメージ。記事とは関係ありません)

 感染症治療の切り札といわれる抗菌薬が効かない薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化しており、日本でも旅行先で現地の薬剤耐性菌に感染し、自覚がないまま日本へ持ち込んでしまうケースが増えているという。

 こうした問題を受け国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンターは、とくに薬剤耐性菌が多いといわれている東南アジア、南アジアへの海外旅行経験がある人331人を対象に、海外旅行中の下痢や腹痛の有無、薬の取り扱いについてアンケートを実施した。  国立国際医療研究センター 、国際感染症センター国際感染症対策室、医長忽那賢志氏の考察とともに結果を公表した。

 「海外で下痢・腹痛になったことがありますか?」という質問には、63・4%の人が「はい」と答え、とくに20代男性は、85・0%もの人が下痢や腹痛を起こしている。忽那氏は「途上国はまな板や包丁が汚染されている場合が多く、サラダやカットフルーツなどには食中毒を起こす菌が付着している可能性が高い。また、屋台での食事もリスクも大きい」と指摘する。

 「海外旅行に薬を持参する人」は、84・0%にのぼる。さらに、「海外旅行に抗生物質(抗菌薬)を持参したり、服用したりしたことがありますか?」という質問では42・6%が「はい」と回答。なかでもにバックパッカーが多い20代の男性は78・8%が「はい」と答えている。

 これらの結果に対し忽那氏は、「市販の薬や医師に処方された薬を、万が一のために持参するのは悪くないが、とくに抗菌薬に関しては、以前処方されて余った薬を持参し自己判断で中途半端に服用することは薬剤耐性菌をつくることになるので絶対にやってはいけない」と警鐘を鳴らす。そのうえで、「抗菌薬の服用にはメリットとデメリットがあることを、頭に入れておくことが重要」と力を込めた。

 なお今回のアンケートは、インターネットを通じて6月に実施。東南アジア、南アジアへの海外旅行経験のある331人の男女を対象に、20代から60代を年代別に調査した。

海外旅行でのAMR対策 8か条

1・ 現地ではまめに手洗いを行う

 感染を防ぐ手段は手洗い。海外では手洗い場が少ないが、ウェットティシュよりも水で流すことが効果的。

2・加熱した食品を食べる

 野菜サラダやフルーツなど生ものには菌がついていると考えて。特にカットされたものはリスクが大きい。

3・屋台の食品は食べない

 菌に汚染されているリスクが高く、加熱されたものでも口に入れない方がいい。

4.・ペットボトルや密閉容器に入った飲料を飲む

 途上国では水道水や氷は口にいれず、水分をとる場合はペットボトルや密閉容器に入ったものをとる。

5・旅行の1カ月前にはワクチン接種を行う

 ワクチンで予防できる感染症は多くあるので事前に予防接種を行う。マラリアなどワクチンはなくても予防薬がある感染症もある。トラベルクリニックを1か月以上前に受診するのがお勧め。

6・軽い下痢なら整腸剤で様子をみる

 下痢を起こしてもすぐに抗菌薬をのまずに、軽い場合は整腸剤などで様子をみる。軽い場合は2~3日で自然治癒することが多い。

7・ひどい下痢になったら現地の医療機関にかかる

 下痢が重い場合は、現地の薬局で薬を買ったり、自己判断で抗菌薬を服用せず、医療機関にかかる。

8・自己判断で抗菌薬を服用しない

 熱や下痢で抗菌薬を自己判断で服用しない。抗菌薬は必ず医師の指示とおりに服用する。

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