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㈱全旅、保証料廃止と新システム「Trip全旅」構築 クーポン取扱額400億円へ会員への付加価値高める

2019年2月8日
編集部:平綿 裕一

2019年2月8日(金) 配信 

Trip全旅 パンフレットweb

 ㈱全旅(中間幹夫社長)は全旅クーポン会員増加や利用促進に向け、大きく舵をきった。1月21日に全旅クーポンの発券保証料の制度を正会員については廃止した。新規入会金は期間限定でゼロ円と半額にする。このほか、オンラインで宿泊・送迎・航空券の検索・予約ができる新たなシステム「Trip全旅」を構築した。会員への付加価値を高め、2021年度にクーポン取扱額400億円を目指す。経営企画本部長の渡部英氏と、営業推進本部本部長の中森万登氏に話を聞いた。【平綿 裕一】

◇◇◇

 全旅クーポンの保証料制度は09年10月に始めた。直近では、正会員に発券額の0・4%を徴収してきた。全旅クーポン会員は2018年12月時点で、正会員1810社、準会員468社の計2278社になる。主に全国旅行業協会(ANTA)会員が入会している。

 正会員は「預託保証金」(20―300万円)を預け、1カ月にその10倍の額の範囲でクーポンを発券することができる。準会員は預託保証金が不要で、1カ月の限度額は100万円となる。

 渡部氏は「近年は取り扱いが増えている。過去10年で前年を下回ったのは、リーマンショックと東日本大震災のときだけだと認識している。18年度は17年度実績(約310億円)を超える見通しだ」と話した。

 しかし、保証料により「一部でクーポンの使い控えがあった」(渡部氏)と振り返る。今回の決断について、「何年もかけて検討してきた。会員の『廃止してほしい』といった声にようやく応えられる」と語った。

 他方、ANTA会員は約5600社いるが、クーポン会員は2278社に留まる。「ここの残り6割ほどをいかに取り込めるかが重要になってくる」と今後の方向性を示した。

 懸念もある。全旅クーポンは、加盟受入施設への100%全額保証が売り。0・4%の保証料を全額保証の運用などに充てていた。この部分がまるごと無くなる。

 中森氏は、「クーポンは超短期の立て替えのようなもの。倒産というロス率は収益に対して少ない」と説明した。そのうえで、「保証料を廃止すれば取り扱いは増えていく。ロス率は増えるかもしれないが収益も増える。今は2278会員と母数が大きいため、ボリュームでリスクを分散している」と全額保証の運用に問題はないと強調した。

 このほか、1月21日からは入会金の割引キャンペーンを行っている。

 通常は5万円する入会金を、3月29日まで新規であればゼロ円とした。さらに4月1日から9月28日の半年間は、半額の2万5千円に設定している。保証料廃止と同CPを合わせて実施することで、会員獲得により弾みをつけたい考え。

 なお、準会員(468社)には従来通り1・98%の保証料を徴収する。そもそも、準会員は預託保証金なしで利用できるなど、参入障壁を下げた“お試し”の位置づけとなる。正会員のメリットを強く打ち出すことで、準会員から正会員への移行を促す狙いだ。

「Trip全旅」を始動会員向けサービス充実

ピンポイント検索の操作画面、便利と評判だ

 全旅クーポン会員専用の「Trip全旅」も1月21日から開始した。会員向けのサービスの充実化をはかる。機能の柱は「ホテル予約」「空港―ホテル間送迎」「国際国内航空券」の3つ。決済はクーポンで自動で行える。

 「開始から2週間ほどで、5千件以上のアクセスがあり、1日200万円弱の取り扱いがある。当初年間2億円を目標としていたが、この勢いがあれば到達するはず。いいスタートが切れた」(中森氏)と表情は明るい。

 トリップ全旅は、国際旅行社が自社OTAサイトを、㈱全旅にOEM形式で提供している。「国際旅行社は後発だが、特徴的な機能もあり、我われの要望に多く応えてくれた」と同社との連携の理由を挙げた。

 ホテル予約では、国内外にある約22万棟の宿泊施設を、最大80部屋まで検索・予約ができる。22万軒に上る宿泊施設は、OTA(オンライン旅行会社)のエクスペディアの在庫を利用している。さらに「2月中にはアゴダともつながる予定」と、利用可能な施設数は大幅に増える見通し。

 特徴的なのは、駅や店舗を指定すると近隣ホテルが一覧で表示される「ピンポイント検索」だ。「評判はいい。知らない土地であっても、簡単に宿泊施設を調べることができる」という。

 空港からホテルへの送迎は世界主要都市で予約できる。航空券は、1月21日に国際航空券の取り扱いが始まり、国内航空券は2月中に利用可能になる見込み。

 一方で、今は国内宿泊施設はホテルが多く、旅館などが少ない。中森氏は「今後は国内OTAとも連携していきたい」とした。このほか、航空券について「LCC(格安航空会社)との連携も視野に入れている」という。

 「現時点で完成形ではない。より充実したものにするため、会員の声も吸い取り、システムに反映していく」――。さらなる充実したプラットフォームの構築に、引き続き力を入れていく方向だ。

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