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「宿選び」 ― 館名のセンスや清潔な布団も大事

2013年12月1日
編集部

 「ここに泊まろう」とあらかじめ宿を決めている旅なら何の苦労もない。だが、何となく旅がしたくて、それでいて初めて訪れる地域の宿を選ぶときには、私は目の下にクマができるほど、探しまくる。1人旅ならまだいいが、これが家族旅行などの場合だと、もっと大変だ。

 例えば宿泊予約サイトから宿を探す場合、エリア別に掲載されている宿をサラリと検索して即決しようと最初は思うのだが、気がついたらネット上ですべての宿を隈なくチェックしている自分に気づき、「あぁ、また泥沼化している……」と充血した目を擦るのだ。

 けれど、私の苦労は決して無駄ではない、と思い込みたい。というのは、それだけ徹底して調べ上げた成果として、今まで「ハズレ」だった宿が奇跡的に少なかったからである、と重ねて思い込みたい。

 宿選びに際して、「館名」というものが、実は、とても重要な要素なのである。「名は体を表す」と言われるが、館名と宿の実体は、本当に密接な関係にある。

 館名の前に、「○○の宿」と修飾語的に説明を加える傾向が少し前にあったが(今もある)、宿にしてみれば、「○○館」だけではお客様に宿の性格が上手く伝わらないのではないかという不安があるのかもしれない。また、「お洒落なイメージを付けたい」といった、前向きな戦略もあるのだと思う。

 館名を変えて以来、売上が大きく伸びた宿も全国にはたくさんあるだろう。館名は平凡よりも、特徴的な方がいいし、誰もが行きたくなるような館名にした方が良いに決まっている。

 しかし、たくさんの旅館やホテルを探しているうちに、古い歴史を持つ宿ほど館名は簡潔に引き締まり、潤いや色気、気品がある宿が多い。それでいて、短い館名の中に、すべてを表し尽くしている宿が幾つも見られる。昔の文人もそうだが、短い言葉の中に、真理を言い表す術は、現代人よりも古えの人々の方が長けていたのだと思う。短いのに薫り高い館名はそれ相応の宿である場合が多い。時代とともに館名も変化していく。「キラキラネーム」も見られるが、自分のセンスとぴったり合う館名を選べば、最悪の選択ミスは防ぐことができると思う。

 館名がしっくりとくれば、料理や風呂、客室などの写真を見ながら、プランや料金などを細かく調べていく。そして、ある程度「この宿にしようか」と心が傾くと、やはり「クチコミ」を3―5つくらい見てしまう。

 人によって、クチコミのチェックポイントは千差万別なのだろうが、宿が清潔か、否か――というのが、多くの人の共通する最大の関心事ではないだろうか。

 以前、「布団に清潔感がなかった」というクチコミを見て、「これは宿にとっては大きな失態だな」と思ったものだ。

 旅人にとって、宿の滞在時間の約半分はベッドや布団の中で過ごす。おそらく宿に到着した旅人の体は長旅によってクタクタに疲れている。美味しい料理や、温かい温泉、スタッフの笑顔やおもてなし、そして気持ちの良い布団を想像して、旅人は宿の玄関を開けるものだ。

 客室や料理が勝負の分かれ目と思っている宿主が多いかもしれない。だが、清潔で、フワフワの布団も同様に数多の旅人を“骨抜き”にする事実も知ってほしい。

(編集長・増田 剛)

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