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“耐震問題”緊急アンケート ― 現場の声を知ってほしい

2013年7月11日
編集部

 今号の1面特集で、旅館・ホテルの経営者を対象に実施した“耐震問題”の緊急アンケートの調査結果をまとめた。

 改正耐震改修促進法の成立までの動きは「あまりに拙速、性急」という意見が圧倒的に多かった。さらに、法案成立後も、「国・県・市などからの説明がなく不安」という声が観光の現場で大きいことを広く知ってもらいたい。「国は観光を成長産業と本当に思っているのか」という不信の声もあった。このような状況下で、民間の宿泊施設にも一定水準の耐震補強が国から期限付きで義務付けられた。

 調査では、「防災拠点としての役割を果たしていく」ことが、旅館・ホテル側でも概ね「賛成」という結果が出たが、それは「国・地方公共団体が防災拠点水準の補助制度を適用させる」ことが前提条件である。しかしながら、現状では耐震診断の補助制度について「まったく情報がない」「窓口が分からない」といった声がとても多いのが気になる。国土交通省建設局から各都道府県の土木課に、耐震診断・改修の補助金についての説明が行われているが、十分に情報として伝わっていないようだ。これでは大災害が発生した際に、国や地方自治体と、宿泊施設との連携が取れるだろうか。とても不安である。

 旅館・ホテルは観光客を受け入れるだけでなく、災害時には「水・食糧・毛布・大浴場に加え、もてなしのプロであるスタッフ」を常備する心強い存在である。この点を宿泊業界はもっとアピールすべきであるし、地域住民にも、経済や文化を含めて“地域のあらゆる拠点”であることの存在意義を理解してもらう努力も必要だと思う。

 とりわけ大型旅館は、名実ともに地域のリーダーとして、雇用創出とともに、災害時には旅行者や地元住民の安全を守る拠点として、行政と防災協定を積極的に結ぶことも大きな役割の一つである。行政や住民との間に信頼関係を築き、補助制度を引き出す交渉力も、リーダーたる旅館には求められるだろう。

 しかし、その一方で、「すべての施設が(立地的にも)防災拠点に適しているわけではない」との回答が今回のアンケートでもあった。保存と破壊の狭間にある宿もある。宿の個性を顧みない、お上特有の一律的な考えに従い続けることは、とても危険であることも忘れてはならない。

(編集長・増田 剛) 

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