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スポーツによるまちづくり ― Jリーグに学ぶべきもの

2013年6月1日
編集部

 SC相模原VS横河武蔵野FC戦を観に行った。いわゆるJ1、J2の下部組織JFLの一戦だ。相模原市立の小学生の息子が学校から地元開催のホームゲームの無料券を配布されてきたので、一緒に観に行くことになった。「SC相模原も上手いことをやるなぁ」と思った。地元に愛されるチームを目指すのなら、少年少女には無料券を配るべきなのだ。お金は大人から取ればいい。

 小さなスタジアムは試合開始前から、ホームチーム一色に染まる。相手チームの紹介のあと、さまざまな映像を交えた地元チームの選手紹介が始まる。スターティングイレブンを一人ひとりドラマティックに紹介したのち、「そして、我らが背番号12番!SC相模原のサポーターの皆さん!」とアナウンサーが絶叫し、大画面に観覧席の無邪気な子供たちや、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちが次から次に映し出されると、私も久しぶりに感動してしまった。私は現在、神奈川県に住んでいるが、鹿島アントラーズが大好きなので、自宅に近い日産スタジアムであっても、鹿島アントラーズ側に座る。東京や神奈川、埼玉、名古屋、大阪をホームにするクラブは強くて当たり前であるが、しかし、小さな茨城県鹿嶋市のクラブがJリーグの進むべき道をリードしていることが素晴らしい。泥臭いチームの伝統を自然なかたちで次世代に引き継いでいるチームである。そんなJリーグも今年20周年を向かえ、さまざまな記念イベントや、この20年を振り返り、検証する試みも行われている。

 地域づくりほど難しいものはない。観光による地域づくりの苦労や大変さも、たくさん見聞きしている。住民の総意がなければ一歩も前に進まなかったり、反対の立場の人も必ずいる。

 そんななかで、Jリーグはスポーツによるまちづくりで成功した良い例だ。長期的なビジョンを持って行動することが得意とは思えない日本にあって、百年構想をゆっくり、地道に進めている。小さな町であっても、さまざまな業種の企業や、一般の人たちが協力し合って、自分たちの地元のチームやスポーツ文化を育てていこうと支援していることも伝わってくる。観光も地域との一体感が不可欠である。Jリーグの地域愛を湧き立たせる演出などは、きっと勉強になる。

(編集長・増田 剛) 

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