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アベノミクス ― 「先陣を切る!」姿勢で

2013年3月11日
編集部

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」に対する期待が大きい。長期にわたるデフレに疲れ果てた国民には、一筋の希望の光に見えるのだろう。

 「アベノミクス」は賭けである。大型の財政出動と、金融緩和、そして成長戦略が噛み合い、軌道に乗れば、好景気になるかもしれない。しかし、経済や金融が上手く回らなければ財政破綻の危機が一層強まる。脱デフレへの本気度は伝わってくる。政権はリスクを負った。

 では、民間企業はどうだろうか。流通業界では、ローソンやセブン&アイ・ホールディングスはいち早く社員の給与の大幅アップを決めた。

 観光業界も他業界のアクションを受け身で待つのではなく、先駆けて社員の給与を大幅にアップし、消費の追い風を起こして、観光業界を自発的に活性化させることが必要だ。大手旅行会社や、旅館・ホテル、テーマパークなどが給与アップの経営姿勢をアピールすれば、業界全体、社会全体に明るさを呼ぶ。「社員を大切にする」「景気回復に貢献している」「豊かな企業」というイメージも得られる。自然と優秀な人材が集まり、業績も上がり、景気好転への良い循環を創り出すことが可能だ。志のある経営者は観光業界にもたくさんいるはずだ。

 先陣を切って実施していくのと、後追いでは、影響力や、さまざまな効果に雲泥の差がある。東日本大震災のときも、支援や義援金を真っ先に名乗り出た企業の名前は誰もが記憶している。「善は急げ!」の経営判断の速さは、称賛に値する。時代の流れを正確に読み、素早く反応し、決断し、行動できる先取の気質(DNA)が受け継がれている企業や店舗が、時代を重ねるうちに、「老舗」と呼ばれるようになるのだろう。

 観光業界は、残念ながら後追いの性格が強い業界である。そしてもう一つ、世の中の好景気や、○○ブーム、補助金などをひたすら待つ「他力本願」の体質も少なからずある。

 「アベノミクスが上手く軌道に乗って、景気が上向いてから社員の給与を上げよう」と考える経営者も多いのではないか。そのような「待ち」の姿勢では、たとえ好景気になり、売上げが増えたとしても、自らの決断や行動によるものではなく、結局、時代に流される。「後追い」ではなく、「先陣を切ろう!」。

(編集長・増田 剛) 

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