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高速路線バスへ移行、「安さと安全を追求」(ウィラーグループ)

2013年7月21日
編集部

オリジナルバス停を披露する村瀬茂高代表

 高速ツアーバスから高速路線バスへ――。ウィラーグループ(村瀬茂高代表)は6月27日、東京都内で会見を開き、7月31日から高速路線バスに移行することを発表した。8月1日からの適用を前に、7月末が期限となっている高速ツアーバスと高速路線バスを一本化する新高速乗合バス制度に即した移行で、同日から全国88カ所に同社が発着できるバス停が登場する。「安いも先頭へ」のスローガンのもと、移行後も現在の路線を維持し、高速ツアーバスの利点である低価格と、消費者が望む安全を追求する。
【飯塚 小牧】

≪8月から新高速乗合バス制度へ≫

 プレゼンテーションに立った村瀬代表は、「関越自動車道での高速ツアーバス事故や、LCCの登場でバス業界は大きな転換期を迎えている。我われはこれをネガティブに捉えるのではなく、大きな挑戦の機会だと考えている」と切り出した。

 高速路線バスへの移行に向けて、路線の減少や運賃の値上げなどを不安視する声があったことを紹介したうえで、「ウィラーは変わらない」と強調。「路線は減らさない。運賃も上げない。『日本最高の価値を提供する高速バス会社へ』という志も変わらない。業界のチャレンジャーの立場として、これまで起こしてきた革新をイノベーション1・0とすると、7月31日からの展開はイノベーション2・0といえる」と語った。

 その柱には、同社が得意とするIT技術とウェブマーケティングをあげ、「移動手段としてのバス事業展開に加え、利用者の多様なニーズに応えていく」と意気込んだ。

 また、新グループスローガンは「安いも先頭へ」と発表。バスの魅力の「安くて安全」を追求するため、安全には手を抜かずに、低価格を実現するための仕組みの開発に取り組んでいくこととした。

 移行後の具体的な展開として、運行組織体制を拡充する。同グループの高速バス「WILLER EXPRESS(WEX)」の運行会社を統括するウィラーエクスプレスジャパンの傘下には現在、3社の子会社があるが、移行にともない新会社7社を設立。全国の運行エリアに10社・12営業所体制を整え、発着地の双方に営業所を設置することで安全を強化する。

 路線は、毎日22路線・201便を運行し、車輌数は163台、乗務員は約400人で全国規模の高速バスネットワークを構築する。新たに3つ目のバスターミナルを長野駅に開設するほか、東京エリアの乗降場所は川崎(神奈川県)、とうきょうスカイツリー駅前を増設。全国88カ所にバス停を設け、そのうちの44カ所には利用者が分かりやすいように、同社オリジナルのピンクのバス停を設置する。初年度の利用者目標は昨年実績並みの200万人に設定するが、5年後には2倍の400万人を目指していく。

 運賃については、新しい運賃体系「スマートプライス」を導入。利用者一人ひとりに合わせ、最も適切な運賃を提供していく。その第1弾は8月下旬から開始する「予約順割引」。100㌔を超える全路線を対象に、1人目の予約は基本運賃の20%引きで2人目、3人目と予約順ごとに運賃が上がり、路線ごとに設定した人数以降は全員基本運賃になる仕組み。そのほか、出発の2週間を切り、乗車予定人数を下回ると設定される「間際割」や「回数券」など、閑散期の利用者やリピーターに最適な運賃を提供していく。また、路線バスへ移行することで、バス停で待つ乗客も空席があれば利用できるようになり、事前予約は10分前まで可能になるという。

 利用者の拡大では、訪日外国人旅行者への対応を強化し、WEXが1日3便まで利用できる「Japan Bus Pass」を3日乗車券1万円、5日乗車券1万5千円で販売する。車内では日・英・中・韓の4カ国語でアナウンスし、ターミナルでは英語対応も行う。現在、インバウンド客のシェアは全体の3%。村瀬社長に今後の目標を聞くと、「全体の1割程度まで増やしていきたい」と展望を語った。

 同社ならではの新サービスもさまざま展開する。1日39便が発着する新設の乗降場所・川崎の利用者には、映画館や飲食店などが集積するエンターテインメント街の「ラ チッタデッラ」の割引クーポンを特典に付ける。また、大阪梅田のウィラーバスターミナルの隣には8月1日、カフェをオープン。営業時間は午前6時30分から午後11時30分とバスの乗客が利用しやすいように設定した。

 さらに、共通ポイントサービスの「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティマーケティング(長谷川剛社長)と提携。ウィラートラベルサイトでWEXを予約・利用すると、200円につき1ポンタポイントが加算される。対象は7月31日からの出発で、同日から「ポンタ」のデザインバスも2車輌登場する。

 このほか、日本で最も安心なシートの開発や乗務員ユニフォームの一新なども行う。

 一方、注力する安全強化策は大きく3項目を掲げる。1つ目はウィラーエクスプレスジャパンとグループバス会社、共同運行バス会社、運行委託バス会社のすべての運行バス会社がメンバーとなる「安全運行協議会」の設置だ。WEX独自の安全、整備、サービス基準を策定し、運行会社や乗務員の違いに関わらず、同じ安全、サービスの提供を目指していく。

 2つ目はウィラーエクスプレスジャパン内に「運輸監査部」を設け、各運行バス会社の運行管理の徹底をはかる。乗務員の安全教育・指導を実施し、事故や故障、苦情報告をもとに再発防止に努めるほか、ターミナルや高速道路のサービスエリアなどで安全調査のパトロールを定期的に実施する。

 3つ目は、重大な人身事故を防ぐための道路交通安全マネジメントシステム「ISO39001」の取得。まずは、7月末までにウィラーエクスプレスジャパンとウィラーエキスプレス関東の2社で取得する予定だ。

 


 

≪高速・貸切バス安全・安心プラン、バスの信頼回復へ≫

 国土交通省自動車局はこのほど、昨年4月29日に発生した関越道での高速ツアーバス事故や、それ以前からの問題を議論していた「バス事業のあり方検討会」の検討結果を踏まえ、「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を策定した。2年間で報告書に記載された措置を着実に実施し、事故の再発防止と、バスへの信頼回復をはかる。

 具体的な取り組みの1つは「新高速乗合バスへの移行・一本化」。高速ツアーバスは7月末までに新高速乗合バスへ移行する必要があり、8月以降は高速ツアーバスの運行は認められない。移行した事業者には、運輸安全マネジメントの実施義務付けを行い、委託者・受託者が一体となった安全管理体制の構築などで安全運行を徹底する。移行後1年間を集中的なチェック期間とし、その後は確認結果に応じて、必要な制度の改正を行う。

 また、過労運転防止のため、8月から「高速乗合バス 交替運転者の配置基準」も厳格化。これまでの基準に加え、昼間の実車距離は原則1運行500キロまで、夜間は原則1運行400キロまでなどの距離基準や運転時間4時間ごとに合計30分以上など休憩時間の基準も盛り込んだ。

 2つ目は「貸切バスの安全性向上」。参入時・参入後の安全性チェックを強化し、10月を目途に道路運送法の許可審査を厳格化して、輸送の安全確保に問題のある事業者の参入防止をはかる。2年間で事業者自ら法令遵守状況の点検をし、国土交通省に報告。悪質な事業者には事業停止など厳格な処分を実施して、市場から撤退させる。

 また、すべての事業者の安全優先経営の徹底をはかるため、運輸安全マネジメント実施義務付けを拡大。ワンマン運行の上限距離などを定めた貸切バスの「交替運転者の配置基準」を8月から適用する。さらに、ビジネス環境の適正化・改善のため、今年度内を目途に安全コストが適切に反映された分かりやすい運賃・料金制度へ移行する。 

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