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「耐震改修促進法」の改正案、宿泊団体が自民党観議連と協議

2013年3月21日
編集部
要望書を読みあげる全旅連の佐藤信幸会長
要望書を読みあげる全旅連の佐藤信幸会長

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤信幸会長)は3月7日、自民党本部で開かれた観光産業振興議員連盟総会で、耐震改修促進法の改正案についての要望書を提出した。地域別で異なる補助金制度は、国が総力をあげて市町村への協力を仰ぐほか、施設名公表の時期については法案に盛り込まないことが確認された。
【内川 久季】

3月7日に開かれた自民党観議連総会
3月7日に開かれた自民党観議連総会

市町村に補助金の協力を、施設名公表の時期明記せず

 同改正案は、2015年末までに耐震診断と診断結果に基づく改修を義務付け、現在の耐震基準を定めた1981(昭和56)年以前に建てられた建築物の耐震化促進が目的だ。対象の建築物は、旅館やホテル、病院、店舗など不特定多数の人が利用する建築物および、学校、老人ホームなどの避難弱者が利用する建築物の大規模施設(学校や保育園以外は5千平方メートル以上)。診断結果に基づく改修指示に従わなかった場合は、施設名が公表される。

 総会には、全旅連47支部長や、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟の代表者も出席。全旅連の佐藤会長は「業界としては、観光立国を目指す国の方針に沿って外国人の受け入れや、国内旅行の活性化に努力してきた。また、東日本大震災時には被害者の受け入れを525万泊し協力もした。耐震改修促進法の必要性は十分理解するが、改正案の提出はあまりにも性急。1年前から委員会や検討会を開き、業界の情報をヒアリングしながら策定すべき。大型施設が廃業にならないよう配慮してほしい」と訴えた。

 制定された15年末の期限は、05(平成17)年に中央防災会議の地震防災戦略で「耐震化目標を15(平成27)年までに90%」と決議されているため。現在、国土交通省は建築物の耐震化目標がマイナスの状況と発表。南海トラフの巨大地震や首都直下地震の被害を想定した場合、東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生することがほぼ確実視されていると報告した。

 改正案の提出理由は、不特定多数の利用者が耐震性を認識しないまま利用し、生命・身体への危険が生じるなど社会的影響がとくに大きいと考え、建築物の耐震化を喫緊の課題と位置付け規制強化をはかるため。

 改正案について自民党議員からは、「期限を15年末とするのは性急すぎる」や「改正案が施行した場合、旅館が廃業する恐れがある」「どこかモデルケースの旅館を作るべき」「施設名公表は社会的制裁。役所の責任逃れではないか」「改修に従わない悪質な施設のみの公表でいい」「緊急時の避難所として旅館の公共性を考え、補助金の見直しをしてはどうか」などの声があがった。また、20年に招致を目指す東京オリンピックが決定する9月まで、「改正案の提出を待ってもいい」との意見もあった。

 国土交通省住宅局の井上俊之局長は、地域ごとに異なる補助金制度について「市町村に補助金の強制はできないが、国が総力をあげ行脚しお願いしていく」と話し、今後はさらに各市町村へ協力を仰ぐ方針を示した。施設名公表に対しては「耐震診断の義務は15年末までと明記してあるが、法案に施設名公表の期限は明記していない」とし、施設名公表の期限は法案に盛り込まないことを確認した。

 自由民主党総務会長の細田博之氏は「市町村にはきちんと助成を頼んでいく。皆さんの意見を集約し、個別に対応していかなくてはならない」と決意を述べた。

 既報の通り、耐震改修促進法の改正案は、2月27日に自民党国土交通部会で了承。3月8日に閣議決定された。

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