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アミューズ登録取消、累積規程の登録取消は初(観光庁)

2013年1月1日
編集部

 観光庁は12月19日、11月3日に中国・万里の長城ツアーで日本人3人の死亡者を出した旅行会社アミューズトラベルに対し、登録取消の処分を下した。同社は20日に廃業予定だったが、観光庁はそれにストップをかけ、あくまで登録取消にこだわるスピーディーな対応となった。これにより、同社と役員は5年間、旅行業の登録ができなくなった。また、観光庁では今後、処分基準の厳格化も検討していくという。
【伊集院 悟】

18日聴聞会は陳述書のみ
18日聴聞会は陳述書のみ

 観光庁は12月19日、旅行業法第19条第1項にもとづき、アミューズトラベルに対し登録の取消処分を下した。

 旅行業法の違反事項について観光庁は大きく分けて5点挙げている。第1に、10月28日―11月5日の万里の長城ツアーにおいて、旅行の安全確保のために必要な計画の作成と実施に関して的確な管理・監督ができていなかったことを挙げた(旅行業法第11条の2第1項違反)。詳しくは(1)下見などをせず、コース設定における情報収集が不十分(2)一部地域で携帯電話の電波が届かないことを認識していたが、衛星電話や無線機器の準備をせず、連絡体制に問題があった(3)気象状況などによる旅程変更や引き返しの判断など、営業所と現地の連絡の仕組みができていなかった――など。また、10月7日の富士五湖周辺へのツアーで貸切バス事業者から交付された必要事項を記載した運送引受書を保管していなかったことも挙げた。

 第2に、万里の長城ツアーで取消料やツアーサービスに含まれる内容など、取引条件の説明を旅行者に充分に行っていなかったこと(旅行業法第12条の4第1項違反)、第3に、同ツアーの広告の際に、国土交通省令で定める事項を表示しなかったこと(旅行業法第12条の7違反)を挙げた。

 第4には、同ツアーで前日に雪の予報が出ていたのに雨具や簡易テントなどの準備もせず、旅程の変更や中止など、企画旅行の円滑な実施のための措置を講じなかったこと(旅行業法第12条の10違反)、第5には、9月4―13日のオーストリア・チロルへのツアーで、国内の旅程管理研修しか修了していない添乗員を海外に添乗させたこと(旅行業法第12条の11第1項違反)を挙げた。

 以上の違反事項による不利益処分は、第1の違反で36日間、第2の違反で6日間、第3の違反で18日間、第4の違反で6日間、第5の違反で6日日間の合計72日間の業務停止処分。高速ツアーバス事故後に施行された「累積60日間以上の業務停止で登録取消をできる」規程により、登録取消を通達した。

 同社は12月20日に廃業申請していたが、観光庁はあくまで登録取消にこだわりスピーディーな対応を取った。廃業であればいつでも旅行業の再登録が可能だが、登録取消処分であれば、同社と役員は5年間、登録ができなくなるという制度の違いが関係する。12月18日の聴聞会で同社は陳述書のなかで反論したが、観光庁は認めず、同社の廃業前の登録取消処分となった。累積規程による登録取消処分は初となる。

 今後観光庁では管理・監督の徹底や処分基準の厳格化などを検討するという。 

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