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体験レポート、栃木をEVで観光(日本旅行)

2012年11月11日
編集部
今回利用したプラグインハイブリッドカー(PHV)
今回利用したプラグインハイブリッドカー(PHV)

充電の不安除く努力を

 日本旅行は、栃木県の委託で栃木県レイル&EV(電気自動車)観光モニターツアー「日光・鬼怒川エリア、那須エリアをドライブする観光モニターツアー1泊2日」を企画した。現地までの往復の鉄道とレンタカー、宿泊がセットになった観光モニターツアーで、このうち後半の11月に実施された那須エリアのモニターツアーに参加し、実際に体験した感想をレポートする。
【古沢 克昌】

 同モニターツアーは、日本有数の自然環境を誇る日光・鬼怒川エリア、那須エリアを環境に優しい鉄道(レイル)とEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド自動車)レンタカーでドライブすることで、EV・PHVの走行状況や充電器の利用などについて意見や要望を収集・分析し、今後のEV・PHVの普及につなげることを目的に実施された。今回は首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)在住者が対象で、大人2人1組の申込みが条件。

 利用するレンタカーは、電気自動車(EV)の三菱i―MiEV、日産リーフ、ホンダフィットEV、プラグインハイブリッドカー(PHV)のトヨタプリウスPHVの4車種が用意され、今回はトヨタプリウスPHVを利用してのモニターツアーとなった。

 東京駅から那須塩原駅まで新幹線で移動し、駅前のレンタカー店でPHVを借りた。電気自動車は初めて運転するので充電器の利用方法や運転席のモニターの見方など詳細な説明を受け、出発した。現地では基本的なモデルコースをあらかじめ提示されていたが、宿泊先にチェックインするまでは自由時間なので、優待施設一覧などを参考にしながら自分なりに周遊コースを考えた。

 まず始めに、建築家・隈研吾氏がデザインを手がけたという那須芦野にある「石の美術館 STONE PLAZA」へ向かった。PHVのスタート時は、充電満タンで電気のみで走り出すが、走行可能距離は約20キロ程度なので最初の目的地に到着した時点ですでに電気残量はゼロとなっていた。電気がなくなると自動的にガソリン走行に切り替わる。

 石の美術館は昭和初期に建てられた石蔵を再生した、総石づくりの美術館。石と光のギャラリーなど幻想的な雰囲気がとても印象に残った施設だった。夜になるとライトアップされるので昼間とは違った顔も楽しめる。

 2軒目は紅葉のシーズンなので以前から一度訪ねてみたかったマウントジーンズ那須の「秋の紅葉ゴンドラ」に乗ってみることに。山頂付近はすでに紅葉が終わっていたが、山麓から中腹にかけての紅葉が見頃でとても素晴らしかった。8人乗りのゴンドラは所要時間が約10分間で乗り応えも十分。山頂駅には大展望台のほか、ドッグランもありゴンドラは全犬種乗車可という。

 昼食を済ませた後は午後から「お菓子の城 那須ハートランド」に移動して人気商品「御用邸の月」を購入。隣接の「ザ・チーズガーデン五峰館」では敷地内のカフェ&ガーデン「しらさぎ邸」でチーズケーキのセットをいただく。どちらも観光バスやマイカー客でにぎわっていて、那須町の風評被害もだいぶ払拭されたのではないかと実感した。

 今回の宿泊先は「ホテルエピナール那須」。事前に入手していた充電設備ポイントマップには、那須地域の充電器設置場所が記されているが、同館の備考欄には「お問い合せ下さい」と記載されていたため、少し早めにチェックインして充電設備の有無を確認。どうやらつい先日設置されたばかりでマップの印刷時には間に合わなかったようだ。駐車場の一角には確かに充電設備はあった。車にプラグを差し込んで約1時間半でフル充電状態に。しかしながら大型宿泊施設にも関わらず、充電器がまだ1台分しかないため、利用者が重なった場合を考えるとまだあまり実用的ではないように思えた。

「那須どうぶつ王国」
「那須どうぶつ王国」

 翌日はチェックアウト後にカピバラが見たくて「那須どうぶつ王国」へ向かった。今年7月にオープンした「カピバラの森」は、カピバラと直接触れ合うことができるコーナーで子供だけでなく大人も楽しめるテーマパーク。おやつのエサやり体験など、子供以上に大人が楽しんでいた。昼食はユニークなオリジナルメニューの「カピバランチ」や「アルパカレー」がおすすめだ。午後は「那須ガーデンアウトレット」に立ち寄り、おみやげのショッピングや外食を楽しんだ。

 2日間の走行距離は合計136・7キロ。レンタカー返却時に駅前のガソリンスタンドで満タン証明を出してもらうため、給油に立ち寄るとガソリンは1・28リットルしか消費していなかったので給油代金は200円でお釣りがきた。このまま電気自動車が普及するとガソリンスタンドも商売が成り立たなくなるのではと心配になったが、レンタカー店の店長は「そのうちガソリンスタンドでも電気を売る時代が来ると思いますよ」と語っていた。

 PHVを利用しての今回の感想。(1)運転していて一番気になったのが電気残量。エアコンを使用していると思っていた以上に電気消費量が大きかった(2)都市部と違って周囲に何もない観光施設の場合、そこに充電設備がないととても不安になる(3)宿泊施設の場合、泊っている間に充電しておけばいいのだが、EV・PHVの利用客が多くなった場合もスムーズに対応できるのか疑問。利用者が少ない深夜時間帯に充電できるスキームを早急に考えてほしい――。

 化石燃料の価格高騰やいずれ枯渇することを考えると、環境保護の観点からもEV・PHV利用の方向性は間違っていないはずなので、まずは利用者が増えるための工夫、心配を取り除く努力が必要だと強く感じた今回のモニターツアーだった。

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