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7万人の被災者受入れ、観光庁と全旅連が連携

2011年4月1日
編集部
溝畑長官(3月25日の会見)
溝畑長官(3月25日の会見)

 東北地方太平洋沖地震を受け、現在もなお、17都県約18万人が避難生活を送るなか、観光庁は全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)と連携し、被災者が旅館やホテルを当面の生活場所として利用できるよう、28日現在、23県で7万人強の受入施設を確保した。1泊3食付きで1人5千円以内。費用は全額被災県と国が負担する。受入れ先の宿泊施設リストを被災県に提示し、今後は被災県と受入県とのマッチングや調整を行っていく。
【伊集院 悟】

「1泊3食付き1人5000円以内」

 観光庁の溝畑宏長官は3月25日に開いた会見で、「震災で亡くなられた方へのお悔やみと被災者へのお見舞いを申し上げる」と被災者と被災地に対して、メッセージを述べた。

 「政府だけでなく、地方自治体、民間と一体になって救援、復旧活動に取り組んでいる」と話した。被災地の被害が大きく、「市町村の行政が正常に機能していない状態で、観光地の被害の全容はいまだに把握できていない。今は被災者の救援を最優先する」と強調した。

 地震発生当初は、震災地域を訪れていた旅行者約4100人中、約2500人の安否が不明と発表。しかし、地震発生から約2週間が経ち、旅行者約4100人全員の安否確認が取れ、「残念ながら日本人旅行者4人が亡くなられたことを確認した」と報告。外国人旅行者については「JNTO(日本政府観光局)や在京の外国大使館から情報を集めているが、3月25日時点で、被害の報告は入っていない」と述べた。

 観光庁は、災害救助法の制度を活用し、旅館・ホテルなどで県境を越えた被災者の受入れを支援することを決定。旅館やホテル、公営施設などの宿泊施設の客室を借り上げ、一時的な避難所として、被災者に無料で提供する。生活のケアが大前提のため、場合により就職、教育、健康、コミュニティーの問題への配慮も掲げる。

 全旅連が各都道府県の受入可能な宿泊施設をリストアップ。3月24日に一旦リストをまとめ観光庁に報告した。施設は全旅連の非会員施設も含め、同日時点で、秋田県、山形県、富山県、群馬県、神奈川県、愛知県の6県で、3万778人分に及んだ。受入れ期間は30日間。借上条件は1泊3食付きで1人5千円以内としている。

 受入れ施設は日ごとに増えており、3月28日現在、23都府県で7万1100人分まで増加している=表参照。

 手順としては、まず観光庁が被災県に受入れ先宿泊施設リストを提示し、被災県と受入県とのマッチングを行う。各被災県は、被災住民の要望や避難の優先順位を考慮しながら割り当て、受入県とスケジュールを調整。実際に施設へ移動する際の貸切バスなどの交通手段は観光庁が手配する。

 また、宿泊費、交通費ともに、被災県がすべて賄い、被災者、受入施設、受入れ県の負担はなし。被災県で賄いきれない分は、国が補助金や特別交付金などのかたちで補填する。

 期間は30日間を区切りとしたが、仮設住宅など安定的な居住環境が整うまでを念頭に、復旧・復興の状況を見ながらの判断になる。被災地域によっては場合により半年や1年というスパンも想定しているという。

 子供のいる家族は学校の問題も出てくるので、あくまで県内移動を最優先とする。まずは県内の公営宿泊施設、その次に県内の旅館・ホテル、それでも難しい場合に県外を考えていくという。

 実施時期について溝畑長官は、「火急かつすみやかに進めたい」とする一方で、各被災県によって対応も異なり、学校や職場、生活拠点を移すため、「実行にはどうしても時間がかかるだろう」と話す。

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