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毎日の計測が意識改革に、エコ達人村セミナー

2011年3月11日
編集部
エコデザインの必要性を説く中山会長
エコデザインの必要性を説く
中山会長

 国際観光施設協会(中山庚一郎会長)は2月22―25日、東京ビッグサイトで開かれたホテレス・ジャパンにエコ達人村を設け、旅館・ホテルの経営者からエコ対策についての相談を受け付けた。最終日の25日は、「水光熱量30%削減への挑戦」をテーマにセミナーを開いた。

 新潟県・月岡温泉のホテル泉慶の飯田武志社長室長は、デマンド(使用電力)管理や、給湯機のハイブリッド化、動力系統のインバータ化など、エコ対策の取組みを紹介。デマンド管理の警報やランプは裏方ではなくフロントの裏など、全社員が見えるように設置し、想定電力を超えそうな場合、社員がすぐに対応できるようにした。「都市ガス、電力料金は3年前からすさまじい勢いで高騰しており値上がり分を償却するのでいっぱい。経費削減まで実現できていないのが実情」と語った。

 ホテルニューオータニの設備を担当する熊木義雄課長は05年から2年間、約100億円規模の投資を行い、ホテルの改修を行ったハイブリッドホテルシステムプロジェクトなどを紹介。エコガラスや、最新の耐震設備の導入、屋上緑化、スカイレストランのオール電化などの省エネ対策に取り組んだ。「国や都が定める温室効果ガス削減の義務も年々厳しくなる。削減義務を達成できない場合、売買で賄う必要が出てくる。現状のままで試算すると年間6、7千万円。社内にエコ対策の委員会を設置するなど、社員の意識改革から始めている」(熊木氏)。

 企業側からは、山下設計の倉田雅史環境設計部門グループ長と大星ビルシステムズの基盤開拓グループの柳川賢一グループ長が事例紹介。倉田氏は「自然エネルギーを活かし建物をどう工夫できるかに我われの出番がある」とし、具体例として京都の町屋の知恵をあげ「風の通り道を確保した造りや、地盤冷気の利用、高天井からの冷気の排除など、夏を旨とすべしといわれる日本家屋の原点」と紹介。「宿泊施設のエネルギー使用は、空調関連が約50%。自然エネルギーを活かすことで30%の経費削減も可能。エコを楽しみ、自然と親しむ考え方も大事」と語った。

 柳川氏は、照明の見直しだけで約28%の経費削減を実現した群馬県・水上温泉の水上館の事例を紹介。工事費用1600万円、施行後の年間削減費用は700万円。費用は2年4カ月程度で回収できた。CO2削減は年間132トンにのぼる。「基本に立ち返り、メンテナンスを見直すだけで経費削減は期待できる」と語った。

 中山会長は旅館・ホテルで使われている水の使用量について「客1人当たり1日平均446リットル。家では300リットルだが旅館になると850リットルを超えているところもある」と報告。「計測が基本。そこからアイディアも生まれてくる。毎日計測することで、スタッフ全員に節水意識が生まれることが大事」と強調した。最後に「エコ達人村が目指しているのは、土地それぞれの自然状況を全部考慮してエコデザインしていくこと。そこまでいかなくてはいけない」と語った。

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