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ギャンブリング・ゲーミング学会

2010年11月11日
編集部
(左から)橋下氏、古賀氏、岩屋氏
(左から)橋下氏、古賀氏、岩屋氏

 ギャンブリング・ゲーミング学会(学会長=谷岡一郎・大阪商業大学学長)は10月28日、東京都内のホテルで第8回学術大会・総会を開いた。「日本におけるカジノエンターテイメントのあるべき姿」をテーマとしたパネルディスカッションや、国際観光産業振興議員連盟(古賀一成会長)の議員との意見交換によって、今後の活動の展望を行った。古賀会長は「来年の通常総会で『特定複合観光施設区域整備法』の成立を目指したい」と語ったほか、大阪府の橋下徹知事は「日本にはカジノが必要。増税よりもカジノを」と力強く訴えた。

■溝畑観光庁長官「海外のIRを調査」

 基調講演には観光庁の溝畑宏長官が出席し、「国土交通省の成長戦略の中にはMICEの積極的な誘致推進が謳われている。我われが参考にし勉強しなければならない例は、シンガポールの国家的なMICEの取り組み。インテグレート・リゾート(IR=統合型リゾート)についても国交省のなかで議論されている。国際観光面から見てもカジノによるメリットは大きい。今後は、国民的なコンセンサスが得られるかといったことや、公営ギャンブルとの整合性など、クリアすべき問題点を検証していく必要がある。観光庁もシンガポールなど海外のIRの調査をしている」とし、「観光庁長官の立場として現状では、『イエス』でも『ノー』でもない。ただ、アジアの中で日本が競争力を持ち、10年後の訪日客2500万人達成へさまざまな施策を打っていきたい。そのなかでMICEは非常に重要」と語った。

 谷岡会長が司会を務めたパネルディスカッションには、民主党の小沢鋭仁氏、自民党の下村博文氏、公明党の佐藤茂樹氏、みんなの党の柿沢未途氏の4人の衆議院議員と、学会副会長で大阪商業大学アミューズメント産業研究所所長の美原融氏が登壇。「日本におけるカジノエンターテイメントのあるべき姿」について意見を交わした。

 小沢氏は「地域経済が厳しい状態にあり、カジノ誘致にすべての地域が手を挙げることも考えられるが、ほぼすべての都道府県にリゾート施設ができ、多くの負債を生み出した『リゾート法』を教訓にすることも必要。私の地元・山梨などには、都市型でも小さい“ロンドン型”といわれるカジノのスタイルもある。ハンガリーのブダベストにも小さなカジノがあり、大都市以外の地域にはこのような形態もあり得る」と述べた。

■橋下大阪府知事「日本にカジノ必要」

 下村氏は「日本全国10カ所程度で、まずは2カ所からのスタートを考えている。10カ所すべてをラスベガスやマカオのような大規模なものをつくると想定しているわけではない。一方、東京など大都市では、1千―2千万人の集客を目指すべきで5千室ほどの大規模ホテルの機能を持つカジノと、非カジノの収益が勝るトータルなエンターテイメント施設が必要。地域性にそったかたちで、税率も全国一律である必要はない」と持論を展開した。

 大阪選出の佐藤氏は「大阪にカジノをつくると想定するならば、大阪ベイエリアの一角に、40万平方メートルクラスの大規模なもの。コンベンション施設やホテル、ショッピングフロア、テーマパーク、グルメ、シアターなどさまざまな施設の1つに、カジノも位置づけられた統合型リゾートが望ましい。カジノは大人の男性が主な対象となるだろうが、家族全員がそこでそれぞれに楽しめる施設を求めたい」と述べた。

 柿沢氏は「日本のカジノ誘致は、東京の臨海部でなくてはならないと明確に思う。カジノの議論は、日本の成長戦略の一環として位置づけられ、大きな期待をされている。そのためには数千億円を投じて、数千万人を集客し、兆単位の経済効果を及ぼすものでなくてはならない。日本で最も有力で有望な場所は、成田と羽田の両空港の中間に位置し、エンターテイメント施設を立地させる余地のある東京臨海部が望ましい。東京が牽引し、東京でカジノ成功の実例をつくることが大切」と語った。

■古賀議連会長「来年には法案成立を」

 美原氏は「スイスでは税率、規模、投資額も異なる『大都市型』と季節性のある『地域型』の2つに分けている。また、大都市型では、ラスベガスの1地域では、『ゲーミング』部門よりも飲食やショッピングなど『非ゲーミング』部門の収益の比率の方が高まってきており、シナジー効果は確実にある」と強調した。

 サプライズゲストとして出席した橋下大阪府知事は、「日本にカジノは必要。国会議員には、増税する前にカジノをお願いしたい。民間企業から税を奪うのではなく、稼ぐ方法を考えるのが政治家の役割。少子高齢化では、世界から人を呼び込むしかない」とし、「関西には、京都、奈良、高野山、神戸など世界に誇れる観光地があり、その真中の大阪に統合型リゾート(IR)ができれば、日本のツインエンジンの一つである関西が浮揚し推進力が高まる。カジノによって財源を確固たるものとすることによって教育、福祉、医療などにまわしていける。来年の通常総会でぜひとも法案成立をお願いしたい」と語った。

 国際観光産業振興議員連盟の古賀一成会長は「超党派の議員連盟としては珍しいほど団結している。法案成立に一番大切なのは、国民的な理解の醸成。すでに法律の条文も作成しており、来年の通常総会で(法案が)通るように精査していきたい。多くの知事や商工会議所、経済界からも期待が大きい」と語った。

 岩屋毅会長代行は「議連も今後は200人規模にし、総理大臣経験者など有力議員にも顧問に入っていただいて拡大していきたい。議連として、誘致を希望されている自治体の首長と意見交換の場を予定しているので、橋下知事もぜひご出席を」と述べた。

 当日、世界のカジノオペレーター10社が参加し、プレゼンテーションや日本の議員や学会関係者らと意見交換を行った。

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