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温泉街は変わらぬ賑わい 若者や外国人客に活路 4月から「草津温泉スキー場」に変更(群馬県・草津温泉)

2018年3月20日
編集部

2018年3月20日(火) 配信

草津温泉の湯畑周辺を散策する観光客

 1月23日に発生した草津白根山の本白根山(群馬県・草津町、2171メートル)の噴火発生から約2カ月が経過した。温泉街は火口から約5キロ離れており、被害はなかったが、噴火当初は宿泊のキャンセルが相次いだ。そこで現在の草津温泉街の状況はどうなっているのか、観光客の動向はどう変化しているのかなど、関係者の生の声を聞くことで現地レポートをしてみたい。
【古沢 克昌】

 3月某日に、群馬県・草津温泉を訪問した。平日午前中にも関わらず、草津温泉街の中心である湯畑には大勢の観光客が集まっていた。この時期は高校生や大学生などの卒業旅行が多く、普段以上に湯畑周辺は若い人たちの姿が目立っていた。草津温泉名物の湯もみショーが1日6回行われる観光施設「熱乃湯」も大勢の観光客でにぎわっていた。

草津温泉のランドマーク「湯畑」も平常通り
西の河原公園にも大勢の若者が集まっていた
大入り満員だった熱乃湯の「湯もみと踊り」ショー

 湯畑周辺では3月の毎週土曜日に湯畑キャンドル「夢の灯り」(湯畑広場、光泉寺階段)が実施され、キャンドルイベント開催時には午後8時から湯の華会(草津温泉の女将の会)によるお菓子の振る舞いも行われた。3月3日には天狗山駐車場を観覧場所に「ベルツこども園隣り」から冬花火が打ち上げられ、大盛況だったという。今年は3月31日にも冬花火が打ち上げられる予定だ。

 3月25日には「ゆけむりJAZZ」も予定されており、「熱乃湯」を会場に午後8時から入場無料(先着250人)でジャズの生演奏が楽しめる。

ゆらゆらと湯けむりが立ち上る湯畑ライティングは幻想的だ

 草津温泉旅館協同組合の工藤強一さんは「湯畑の周辺はにぎやかで毎年3―4月は若い人がかなり目立つようになりました。宿泊施設の泊食分離も進み、元々は人手不足対策として素泊まりの宿が発生したのですが、料金体系などいろいろなニーズに対応できるようになり、多様性も出てきました。草津温泉はリピーター客が多く、家族で泊まりに来ていた子供たちが大きくなり温泉へ卒業旅行に行くとなった場合、親たちも泊ったことのある草津温泉なら子供だけの旅行でも安心感があるので親からも許可が出やすいのだと思います」と説明してくれた。

 草津温泉観光協会の富岡忠幸統括部長は「5、6年ほど前に草津温泉に宿泊した若者600人にアンケート調査を実施したところ、一番多かった回答が『温泉が良いから』『草津温泉は有名だから』というものでした。それまでは家族連れや年配の方が目立つ温泉地でしたが、温泉目的で草津へ来てくれる若者が増えたというのが新鮮な驚きでした」と語った。

 今回一番影響が大きかったはずの「草津国際スキー場」にも足を運び、草津観光公社の安斉克仁企画担当課長にも話を聞いてみた。「今シーズンは4月8日までの営業となります。スキー場は噴石被害を受けたロープウェーを廃止し、山頂エリアのゲレンデを閉鎖したため、全長距離が短くなり、山頂エリアの雪質の良さに魅力を感じていた中・上級者の足が遠のく可能性があります。4月から名称を『草津温泉スキー場』に変更します。草津温泉から近いスキー場であることをアピールし、ファミリー層をより強化するとともに、雪の降らない地域から来る外国人などスキー初心者の新たな客層を開拓したいです」と考えを語った。

「草津国際スキー場」は「草津温泉スキー場」に名称変更

 宿泊施設にも話を聞いてみた。今回、噴火によるキャンセルの影響が大きかったであろうと思われる大型の宿泊施設を数軒回ってみた。湯畑前の「ホテル一井」では、手島悟顧客サービス部長が対応してくれた。「当館ではキャンセルが300件ほどありましたがその後新規の予約も入り、おかげさまで3月は連日満館に近い状態です。しかしながらスキー客を中心とした宿泊施設は依然として厳しい状況が続いているので、草津温泉全体ではまだ元の状態に戻ったとはいえません。ホテル1階の改装は当初からの計画通りで4月1日には新しい売店がオープンします。こういう時期に来てくれたお客様は大事にしないといけません。草津温泉でゆっくり癒されてほしいです」と話してくれた。

 草津温泉で一番大きな宿泊施設である「ホテル櫻井」の藤井知義統括部長は「個人客の戻りは早かったが団体客のキャンセルが大きく、これから先の4―6月の営業がかなり厳しい」という。

 予約担当の小田柿正康支配人は「団体客の割合が4割を占める当館では、これから先のトップシーズンの動きがまだあまりよくないです。3月1日にはエントランスロビーと本客殿に『コンフォート和洋室』がリニューアルオープンしました。来年1月からは耐震工事も始まるので、前向きな営業を頑張っていきたいです」と語る。

 草津国際スキー場からも近い「草津ナウリゾートホテル」の小林恵生社長は「毎年2月はスキー、スノーボード、雪遊びのお客様が多いのですが、残念ながらスキー関連客のキャンセルが多かったです。天候理由によるリスクが大きいスキー団体客は3年前からとらないようにシフトしてきました。その代わりに新しい客層として20代前半のカップル客の比率が増えてきました。インバウンドのキャンセルはなく、受注速度は例年と変わりません。好調なのは東南アジア諸国で、今後ますますスキー人口が増え、新しいターゲットとして期待できます。スキー場の課題はソフト面での充実が急務で、例えば現在は当日でないと申し込みができないスキースクールの予約をできるようにするなどが該当します。食事やタクシーの予約も同じです。さまざまな変化対応が加速する時代に突入しました。新しい草津温泉の在り方が求められる時代になったと思います」と展望を語ってくれた。

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