エクスペディアホールディングス代表 マイケル・ダイクス氏に聞く

  • 2017-8-17

マイケル・ダイクス代表

アジアをもう一度見直す、3本柱で日本事業を推進

 エクスペディアホールディングス(マイケル・ダイクス代表=ロッジングパートナーサービス 日本・ミクロネシア地区統括本部長)は、3つの柱を据えて日本での事業を推進する。日本市場へ外資系OTA(オンライン旅行会社)の参入が激化するなか、ダイクス代表に日本における取り組みを聞いた。
【平綿 裕一】

 ――日本を含めたアジア市場をどのようにみていますか。

 日本は多くの産業が成熟しているなか、旅行業界をみればまだ伸び代があります。一方アジアの旅行市場はすでに約44兆円規模で、米国・カナダの約43兆円を抜いています。欧州は約50兆円ですが、伸び率はアジアが断トツなので、すぐにアジアが世界一の市場になると思います。

 ――狙うべきターゲットは。

 「欧米人を増やしていきたい」と最近よく耳にしますが、〝アジアをもう一度見直す〟ということがあるのではないでしょうか。1億円の資産を有する富裕層が最も多いのはアジアです。欧州や米国よりも多い。日本にはアジアの富裕層を狙える観光地の力も、地理的にも恵まれており、ここにとてもチャンスがあるはずです。

 ――日本における外資系OTAとしての役割は。

 「世界の旅行業界の基準」を日本の関係者間で共有することがあります。ほんの一例ですが、日本以外の国はほぼ1年先の在庫が入っています。しかし、日本は半年ほど。訪日旅行者からすれば、日本は半年以上先の在庫が無い「売り切れ」状態になっています。半年以上前に予約する顧客は、我われのグループ全体で13―20%と大きな数字です。これらのことを解決しなければ機会損失が生じます。

 少し大げさかもしれませんが、インバウンド4千万人の政府目標なども、業界全体で成し遂げていかなければなりません。4千万人の達成は、旅行先としての日本が国際競争に勝つことです。だからこそ、海外での常識を、日本でも当たり前にしていかなければなりません。

 ――日本での事業の方向性は。

 3つあります。1つ目の柱はコンサルティングです。さまざまなデータを活用した提案をしていきます。日本は各地域でインバウンド受入体制の成熟度が異なっています。成熟度が違えば、各地域に合ったコンサルティングが重要になってきます。

 例えば、以前からインバウンドに取り組む沖縄や京都などの地域は、多くの流入があります。インバウンドのボリュームがあれば、どの市場を狙うかピンポイントで選別できます。

 一方地方では、まずボリュームが欲しいので、どちらかといえば認知度向上。次に流入が増えてくれば、徐々に市場を選別していくことも可能になります。この流れが間違いなくあります。

 今後各地域が成熟してくれば、コンサルティングへの要求も高くなります。我われはそれに応えていくため、コンサルティングに力を入れていくのです。

 ――2つ目の柱は。

 「旅行先としての日本の告知」です。16年はグループ全体で約4800億円分の広告を展開しました。本業はOTAのホテル・フライトの予約ですが、オンライン広告の専門部署も持っています。

 今の旅行者はオンラインで調べ、予約し、すべて終わらせたいのです。認知させる手段も、考え直さなければなりません。日本もすでに約半数のトラフィックはスマートフォン経由。さらに3件に1件の契約がスマートフォンからです。

 オンラインどころか、オンラインのなかのモバイルが拡大している。この状況はしっかりと理解しなければなりません。

 最近の新たなサービスで、地域単位の広告を打てるものを出しました。特定地域のホテル同士が集まり、資金を出し合って、その地域やテーマの単位で海外に情報を発信できるのです。これにより小さな地域単位で海外への露出が可能になりました。

 ――温泉街といった単位でも可能ですか。

 まさにそういったところも可能です。今後は日本各地でこのサービスを進めていきます。

 ――もう一方の柱は。

 新規獲得です。現在日本では1万件弱の掲載があります。大都市はほぼ獲得していますが、まだムラがあります。掲載されていない地域には、新規獲得だけを担当するチームを設けています。

 サイト内の充実もはかり、国内線のフライトもすべて掲載されるようにしました。今後は日本各地への足ができ、地方への流入は一層加速するはずです。LCC(格安航空会社)も地方空港に増便しています。引き続き地方施設への送客に注力します。

 ――日本の業績や目標値は。

 国別に具体的な数値は言えません。ただ、アジアでは日本が1位です。15年後半から17年後半にかけて、アジアでの業績を3倍にする目標を立てていましたが、日本単独でこの目標値を超える実績があります。

 我われのなかで日本は「投資すべき国ナンバーワン」です。

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