印象に残る道 ― 古い道をゆっくりと走る旅の魅力

2017年2月1日
編集部

 明確な目的地がある旅ではなく、「行き先はどこでもいいが、どこかに行きたい」という、体の奥がもやもやっとする感じに背中を押され家を出る場合がある。このような行き先が定まらない旅では、旅の過程が意味を持ってくる。

 先日、久しぶりに映画『イージー・ライダー』を観た。ピーター・フォンダとデニス・ホッパーがハーレーダビッドソンに乗って、カリフォルニアからニューオーリンズの謝肉祭を目指して、自由気ままな旅をする物語だ。彼らが身に纏った“自由”の空気が、“自由”なはずのアメリカの行く先々で、さまざまなトラブルを招き、衝撃的なラストシーンを迎える。この映画の旅も、目的地は“謝肉祭”であるが、旅の過程こそが、大きな意味を持っている。

 私は「イージー・ライダー」に限らず、フェデリコ・フェリーニや、ヴィム・ヴェンダースらのモノクロームのロードムービーを暗い部屋で静かに酒を飲みながら眺めるのが好きだ。まったき自由と引き換えに憂鬱な旅が続く気分に、どこか共感してしまうのだろう。

 実際、自分自身の旅を振り返ってみても、目的地が定まらない旅を何度もしてきた。目的地を決めない「自由さ」を、旅の中に残しておきたいという心理が強く働いているせいだろうと思う。

 鉄道を利用する旅では、出発時間と到着時間が明確に定まっている。乗換があれば、走ってホームを渡らなければならない“縛り”がある。それは、それで楽しい旅である。

 しかし、クルマやオートバイでの旅は、宿さえ決まっていなければ、基本的に自由である。その代わり、1つの分かれ道ごとに、どの道を行くか、決断をしなければならない。あるいは、決断をしないことを決断しなければならない。

 そのような旅においては、旅行者が見つめる先には、道しかない。そして、その道に沿って広がる景色が、流れ去る。

 これまで多くの道を旅の途中に走ってきた。

 なかでも印象に残っている道が幾つかある。青森県の陸奥湾沿いの国道279号線は、下北半島の恐山を目指して走った。少し寂れているが、北へ、北へと続く一本道の感じがいい。

 また、同じく青森県の鰺ヶ沢や千畳敷海岸、深浦、不老ふ死温泉、秋田県へと続く国道101号線も、青い日本海を眺めながら走ると、寂しくなるくらいに美しい。沖縄県も離島を含め、クルマを走らせたくなる道がたくさんある。

 北海道の天塩から稚内までの道道106号線は、ライダーの聖地といわれている。日本海沿いにサロベツ原野の中を、直線で約68㌔続く道である。利尻富士も見えるという。まだ、走ったことがないが、いつかこの道をオートバイで走ってみたいと思っている。

 旅が終わったあとで、いつまでも印象に残っている道は、信号のない道である。そして、それらの道は真新しいバイパスではなく、古くからある道だ。

 現代の旅は、航空路線や新幹線、高速道路が次々につながることで、快適で早く目的地に辿り着けるようになった。本当に便利になったと思う。一方で、だからこそ、便利ではない旅にも憧れる気持ちも湧いてくる。古い道をゆっくりと走る旅の魅力も、まだ十分に発信されていない。

(編集長・増田 剛)

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