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一定の意見反映へ、外務省の渡航情報が改定(JATA)

2015年8月18日
編集部

 外務省は9月1日から、13年ぶりに「渡航情報」の表現を改定する。年始のシリアでの邦人殺害テロ事件の発生で設置された「在外邦人の安全対策強化に係る検討チーム」が5月に発表した提言を受けたもの。一方、日本旅行業協会(JATA)は提言発表時から海外旅行需要への影響を懸念し、全国旅行業協会(ANTA)と両会長名での要望書提出や、外務省担当者との話し合いなどを行ってきた。その結果、改定に一定の意見が反映されたことを8月6日の会見で明らかにした。

 外務省は提言で渡航情報の分かりやすい発信のあり方を指摘されたことから、名称を「海外安全情報」と改称するほか、現在、4つの段階で示している「危険情報」をレベル1―4とし、2段階目の「渡航の是非を検討してください」を「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」と改める予定だ。
 これに対し、JATAの越智良典事務局長はこれまでの経緯を説明。検討チームが提言書をまとめるなかで、JATAはヒアリングに参加したほか、独自の活動でリスクセミナーや安心安全部会の開催などを実施してきた。しかし、5月に提言が発表された際、ヒアリング段階では知らされていなかった渡航情報の見直しが含まれており、海外旅行の需要が減退することを懸念。ANTAと連携して両会長名で外務省の領事局長宛てに要望書を提出していた。

 越智事務局長は3月のチュニジアのテロ事件なども挙げ、日本人を取り巻く海外旅行の治安情勢が大きく変わったという基礎認識を示し、「それを踏まえて旅行の安全に取り組まなければならないということは重々承知している」としたうえで、危険情報の改正案については「全体のトーンが海外旅行は危険だから行くなというイメージ」と不安視。旅行会社の催行に関する義務付けに変更はなく、今まで通りレベル2でも各社の自己判断でツアーは催行できるが、大手はレベル2に引き上がるとツアーを中止する会社が多い。他方、専門的な会社ではレベル2にあたる地域に特化する会社もあり、会員の数社で年間2千人以上の影響が出ると試算。会員からも予想以上に不安の声が挙がり、「レベル2の表現を余地のあるものに変えてほしい」と、外務省の担当者らと折衝を重ねてきた。結果、レベル2の不要不急時の渡航中止の表現は変更できなかったが、同様の文字の大きさで「渡航する場合には特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください」という追記を加えることができたという。

 また、旅行会社の安全への取り組みに対する考慮として「危険情報の発出対象と安全対策」の項で、発出者の対象を一般的な個人旅行者を対象としたものと想定し、安全対策を講じている旅行会社による企画旅行とは異なるものであるという内容が盛り込まれた。さらに、旅行業界が観光庁の指導の下に旅行安全マネジメントを推進していることと、JATAは海外旅行の安心安全な実施のために独自のガイドラインを策定していることを紹介する記述も掲載。ガイドラインへのリンクも貼られている。

 これらに対し、越智事務局長は「100点満点は取れなかったが、お客様の安全を守りながら、旅行会社のツアー催行についてある程度担保できた」と評価した。一方、「安全対策が旅行会社の価値だと国がいってくれているので、より意識を高めなければならない」とし、これを機に海外企画旅行の実施ガイドラインの見直しも行った。レベル2時にツアーを催行する場合の安全対策について注記で具体例を示し、適切な対応を呼びかけている。

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