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大都市集中から分散へ、全国的に観光消費額拡大へ提言(日本商工会議所)

2015年6月21日
編集部

 日本商工会議所(三村明夫会頭)はこのほど、「国と地域の再生に向けた観光振興について」の提言をまとめ、須田寛観光委員会共同委員長が、西村明宏国土交通副大臣と久保成人観光庁長官らに説明し要請した。大都市圏に集中する旅行者を広く分散させ、観光消費額の拡大による地域経済の活性化に取り組むことを提案している。

 同提言の基本的な考え方は「観光は地域社会の価値向上と、需要拡大、雇用創出など地域経済の活性化をもたらし、地方創生の鍵であり、日本の経済再生の原動力」と定義するが、好調のインバウンドと比べ、「国内の観光消費額の約9割を占める国内(居住者)の観光は低迷から脱しえていない」と指摘。さらに「内外旅行者は、首都圏や関西圏などの大都市圏に集中する傾向が目立ち、その効果に地域格差が見られる」ことを問題視している。

 そのうえで、旅行者を全国各地に幅広く分散・拡大させ、均衡のとれた観光を推進していくことが必要であるとして、(1)「国内観光」と「インバウンド」の両輪による観光振興の促進(2)観光関連産業のイノベーション促進と地域内産業間の連携と協働(3)関係府省庁、国と自治体、自治体間の垣根を越えた推進体制の構築・強化――の3つの観点から提言をまとめた。

 地方創生の観点から重点的に取り組むべき事項としては、(1)交流拠点都市の構築による観光の振興(2)観光ネットワークの構築による観光の広域展開(3)観光関連産業のイノベーションと産業間連携の促進――を挙げる。

 交流拠点都市の構築では、地域観光の核となる「交流拠点都市」(仮称)を国が指定し、特区で認められている特例措置の適用や税財政措置など重点的な支援によって周辺地域に旅行者を行き渡らせる。特区としての規制緩和策としては、地域内交通の整備、ガイド・通訳の増強、宿泊施設整備などに係る税・財政措置などを挙げる。

 観光ネットワークの構築では、地域間相互の連携による広域観光の展開を軸とし、観光地間にライン(2地点間)型、トライアングル型、ラウンド型など、地域の特色を反映した広域観光ルートの開発を求めている。

 観光関連産業のイノベーションと産業間連携では、観光客数のみならず、観光産業を通じて「観光消費額」を拡大して地域経済の活性化に努めることを重要視している。工場視察や農作業体験などそれぞれの産業の観光要素を持つ取り組みを推進し、ビジネスにつなげる産業のイノベーションや、歴史的建造物や文化施設をレストランやカフェなどとして有効活用や、道路・水路など交通空間の活用の必要性を強調する。

 日商では、全国514カ所の商工会議所による「商工会議所観光ネットワーク」(CCI観光NET)が構築されており、今年度から本格的な活動をスタートするが、「この提言を全国の観光担当者会議のテキストとし情報共有していく」(須田寛氏)考えだ。

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