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混雑するゴールデンウイーク ― 「生き方」にも関わる休暇制度改革

2015年5月1日
編集部

 4月は天候不順で雨の日が多かったが、ようやく洗濯物が乾きやすい季節になった。

 休日前の夜は洗濯機のタイマーを早めセットし、目覚めたらすぐに洗濯物を干せるようにしておく。冬の朝にマフラーを巻いて冷たい洗濯物を干すのも、苦行の一環として考えれば、すがすがしい達成感を得ることができる。だが、心地よい風の吹く5月の快晴の朝は最高だ。

 洗濯物を干すときは、バランスを殊のほか重視する。「てんびん座」生まれが影響しているのだろうか。洗濯ピッチが傾かないように、左右の位置を微妙にずらして調整したり、乾きづらいものには風が通り抜けるように考慮しバランスよく配置したり、ささやかな美学を追求していく。何よりも柔軟剤の香りに包まれての作業だから精神衛生にもいいのだと思う。

 混雑を嫌う私は、毎年ゴールデンウイークにはベランダで洗濯物を干してのんびり過ごす印象が強いが、この時期は日本だけでなく、近隣の中国や韓国も大型連休が重なっている。

 訪日外国人が急増中の日本では今後、有名観光地や高速道路、鉄道、航空路線などの需要平準化への取り組みが大きな課題となってくる。

 さて、5月といえはアウトドアの季節でもある。洗濯物を干すだけではさすがに時間を持て余すので近くの相模川で毎年のようにバーベキューをやる。しかし、広い河原もGW時期は場所が取れないほど混雑する。であるため、最近は「早朝バーベキュー」を決行している。食材や炭などは前日までに買い込んで用意する。そして、夜明けとともに河原に直行するのである。誰もいない早朝の河原は自然を一人占めした気分になれる。選びたい放題の河原の石で土台を作り、炭に火を付け、ウィンナーや魚介類に火が通り始めたころにはちょうどお腹も空き始め、ちょっと早めの朝食タイムとなる。空腹が満たされ、少し太陽の日差しが強く感じ始めたころに火を消し、片づけ始める。だが、休日はこれから始まる時間だ。贅沢な時間の使い方だと自画自賛する。そのころになって河原は混み始める。

 観光業界にとってGW中は書き入れ時で、ほとんど休みを取ることはできない。長年の懸案となっている休暇制度改革は商売上だけではなく、従業員満足度の面からも重要な意味を持つ。

 サービス業を希望する人が少ない理由の一つに、週末や大型連休は多忙であるため、「みんなが休暇の時期に休めない」「全体的に休みが取りづらい」などが上げられる。閑散期にたくさん休暇が取れるような仕組みづくりは言うまでもなく必要だ。しかし、どのような休暇制度が望ましいか、さまざまな立場からの意見があり、理想と現実の間でまとまっていない。

 日本を幾つかのブロックに割って、順に休暇を取っていくという案もあるが、結局、近場の観光地に行こうとしても同一エリアの人が一斉に休暇になるので混み合うし、遠方に行くにしても移動手段の交通機関や道路は渋滞し、大した効果は得られないのではないか。休暇制度改革は「今後どのように生きていくか」といった個人や家族の生き方にも関わる大事な問題である。とりわけ休日・休暇との関わりが強い観光業界は、政治的、経済的な圧力からも離れて、深く考えていかなければならない。

(編集長・増田 剛)

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