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プロが選ぶ「100選」 40年の歴史 ― 旅の同志からの選出「輝かしい誉れ」

2015年1月11日
編集部

 今号で、本社主催の第40回「プロが選ぶ日本の旅館・ホテル100選」をはじめ各賞の発表を行った。「プロ」というのは、旅行会社のことで、毎年10月に全国の旅行会社の支店や営業所など(今回は1万6310通)に投票用紙を配布し、集計している。昨年11月25日に選考審査委員会を開き、入選施設を確定した。

 洋の東西を問わず、人気宿ランキングや口コミの好評価を競うものなど、さまざまなランキングや格付けがある。そして、その多くが一般消費者が投票するランキングだ。旅館やホテル、土産物施設やバス会社にとっても、お客様である一般消費者から高く評価されたり、「行ってみたい」ランキングの上位に入ることはうれしいし、それを目標にしている宿もある。

 一方で、一切の「ランキング」や「格付け」を厭う経営者も多い。「勝手にランキングなんかしてほしくない」「うちは、オンリーワンの宿なのだから迷惑千万だ」という思いもあると思う。しかし、ランキングや格付けは自然発生的に生まれてしまうものだ。それは、個人がすべてを知り尽くすわけではないので、「大多数の人が支持するものを選びたい」という心情や、「信頼のおける専門家がおすすめするものなら間違いはないだろう」という思いもあるだろう。家電や病院、レストランやラーメン店などありとあらゆる「いいモノ」や「美味しい店」は、勝手に客観評価されてしまう宿命にある。

 そして、もう一つ、多くの旅館経営者自身も「格付け」や「ランキング」を心のどこかで望む気持ちがあるということである。「誰かに客観評価してほしい」という願望である。それは、一人の人間としても同じだろう。ただ、意に沿わないランキングは面白くないのも理解できる。けれど、幸いにも世の中には無数のランキングや格付けがある。脚光を浴びない「いいモノ」をしっかりと見つけられる「目利き」の存在も絶対に必要であり、多様な価値観がある方が、社会にとっても健全だ。 

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」を主催する観光業界の専門紙としては、旅行の「プロ」である旅行会社の目線にこだわっている。一般消費者の目線とは異なるところもあると思う。また、旅行会社との付き合いの少ない宿や施設は、ランキングの上位に入りづらいという側面もある。

 「プロ」の旅行会社から投票された宿や土産物施設、バス会社は共に「よい旅を創り上げる同志」、いわば「戦友」から選ばれていることを意味している。個人化が進んでいるとはいえ、団体旅行はまだまだ「死んではいない」。大勢で大型バスに乗って、ビールを飲みながらバスガイドの美声に酔い、ドライブインで昼食をとり、お土産を買い、夜は大型旅館で宴会をするスタイルは、今でも多くの人の心を振り動かす旅の醍醐味の一つである。それら一つの旅(作品)を、幾つもの施設や運輸機関が協力して創り上げている。その作品をトータルプロデュースし、お客に自信を持って販売している旅行会社から選ばれることは、輝かしい誉れではないだろうか。

 「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」は今年40回を迎えた。観光業界でこれほど歴史ある賞は少ない。長く支えていただいている業界の皆様に感謝したい。

(編集長・増田 剛)

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