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旅行者をリピーターに ― 温泉地でレストランを育てよう

2014年10月11日
編集部

 最近、自宅に向かう駅の近くにコンビニエンスストアができた。それまで駅の裏通りには店がなく、街灯も少なく暗かった。会社帰りにちょっとした買い物をするにも表通りの方に遠回りをして帰らなければならなかったが、コンビニができてから、その名の通り、随分便利になった。明るい店内の照明と、バイトの女の子が笑顔で働いている姿が町に活気を与えているように見える。疲れ果てて駅を降りたときなどは、ハーフボトルの赤ワインとツマミを買って帰ったりして、その分だけ出費は増えるようになった。

 東日本大震災の被災地でもそうだが、コンビニエンスストアが町に誕生することで、日常的な生活が便利になるだけでなく、心理的にも住民を明るくさせる効果が大きいようだ。

 地元の商店街がすべて閉まり、シャッター通りとなっては地域の活気は失われる。隣町や遠い大規模商業地まで買い物に行かなければならなくなり、悪循環が続いてしまう。小さくても、地域に店がオープンするということは、町に赤ちゃんが生まれることと同じ意味合いを持っている。地域の皆で大事に育て上げることが大切だ。

 鹿児島県・指宿温泉のホテル秀水園社長の湯通堂温さんと東京でお会いしたとき、「少し時間があったので、鎌倉や江ノ島辺りの海岸線を視察に行ってきた」とさらりと言われた。「自分たちの地域づくりに参考になる部分があれば、積極的に取り入れていきたい」との意欲が強く感じられ、「さすが湯通堂さん、地域全体のことまで考えているのだな」と感心してしまった。鎌倉や江ノ島エリアの海岸線には、お洒落なレストランやショップが並び、常に多くの観光客が訪れる人気エリアだ。どの地域であっても、参考になる部分は多いはずだ。

 海岸リゾートには、わざわざ訪れたくなるようなレストランは多い。また、海に行くプランの中には海で遊んだ後、海辺の美味しいレストランでランチを食べることも多くの人の予定に入っているのだろう。だから、人気の高いエリアの海岸線をクルマで走りながら、レストランを探すのは比較的簡単だ。

 一方、意外と難しいのが温泉地でのレストラン探しである。全国的に有名な温泉地であっても、温泉街を歩きながら、いい雰囲気でランチが食べられるレストランを探すと、一苦労してしまう。滞在型を目指す温泉地は多いが、一番課題となるのは、食べ物屋さんの選択肢が少ないところだろう。逆に、レストランの多い温泉地は昼間であっても活気づいている。

 昨今のオーベルジュ・ブームを見ればわかるが、今は「温泉が素晴らしいから」というだけでは、温泉地が人を集めることは難しい。温泉があることはプラスであることには間違いないが、今は、さらに「美味しいレストランがある」という条件が加わっているような気がする。

 町にコンビニエンスストアができると活気づくように、温泉地に美味しいレストランが生まれると、その地を訪れる新たな層が生まれ、大きなプラスになるはずだ。大型旅館は宿泊特化型のプランを作り、滞在を促すこともできる。選択肢が多ければ旅行者は何度もリピートする。温泉地に新たな店ができた場合、地域が連携して店が存続し、成長するように支え合っていくことが、今後大切なことだと思う。

(編集長・増田 剛)

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