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【特集No.597】ピンクリボンのお宿ネットワーク 10周年迎え、ビジョン語り合う

2021年11月19日
編集部:馬場遥

2021年11月19日(金)配信

 :東日本大震災のあと、旅行新聞新社の石井社長から「ピンクリボンのお宿ネットワークを立ち上げたい。会長になってもらえないか」とお電話をいただいたことを覚えています。ピンクリボンと聞いても初めはピンと来ませんでした。当時は16人に1人が乳がんを患うと聞き、私もいつ乳がんになるかわからない、それならばと思ってお引き受けしたのが始まりです。そこから、あっという間の10年でした。

 リボン宿ネットのセミナーで桜井なおみさん(NPO法人HOPEプロジェクト理事長)の講演をお聞きし、また、患者さんや乳がん治療を受けたお客様の経験談を伺って、皆さん本当につらい思いをしてきたのだなと分かりました。

 加えて、病気になってしまったらなかなか旅館には行けないと考えている女性が多くいることが分かりました。そういう方々に対して、ネットワークを通じてお宿を知ってもらうことが大切だと考えています。

 設立2年目には、盾を作り、加盟している宿に置いていただきました。うちの宿でも、フロントに置いている盾を見たお客様からお声を掛けていただき、さらにお客様ご自身の体験や要望など、詳しいお話を聞かせていただくきっかけになっています。

 リボン宿ネットができたおかげで、どうやったら旅を楽しめるか、温泉で気持ちよく過ごせるかを患者さんと一緒になって考えられるような気がしました。

 松﨑:私自身が乳がんを患った経験がありますので、術後の傷痕を気にして温泉に入るのをためらってしまうお客様が多いだろうなという想いが以前からありました。

 2011年に行われた福岡県での女将サミットで、そういったお客様向けに貸切風呂があったらいいのではという話もさせていただきました。私にとってのピンクリボンは、そこからのスタートだったと思います。

 乳がんの早期発見のため、多くの人に検診を勧める目的でも発足は必要なことでした。これからも啓蒙活動を続けていかなければならないと考えています。

 また、自分が乳がんを経験したと書いたうえで旅館での取り組みを記載していると、お客様から「読みましたよ、大変だったんですね」、「私もそうなんですよ」とお声を掛けていただくことが多かったです。なかなか他人には話しづらいことですし、お客様からこうして言っていただけるのはありがたいと思いました。

 活動を続けることで従業員や、患者さん、患者ではないお客様、それぞれの意識が変わるのはとてもいいことだと感じました。

 西川:リボン宿ネットのお誘いを受けた年の2月に、母親をがんで亡くしたばかりでした。そのとき、ぜひともやりなさいと母が言っているような気がして、当初から監事として携わらせていただいております。

 ひとつ残念だと思うことは、せっかく加盟したにも関わらず、リボン宿ネットから集客が望めないとみて退会されていく宿があることです。

 会員が増えるのは素直にうれしいという反面、入り方が間違ってしまうとあっさり退会していってしまいますよね。

 ネットワークから宿を知ってもらい、「一度利用していただいたから終わり」ではいけません。

 冊子を手にしてお宿を知ってもらい、お宿の良さを知ってもらい、もてなしを受けて「また来よう」とリピーターになってもらう。これが本来あるべき姿だと思います。

 加盟したからには、積極的に「こういうネットワークがあります」、「こういう対応をしているので安心していらっしゃってください」とアピールする義務があると思います。

 これは運営のやり方にも問題があるのかもしれません。ネットワークに加盟するということは、いちスタッフになるということではないかなと考えています。

 果たして現場の人たちは「またこの人に来てもらうんだ」という想いで接客しているでしょうか。リピーターを作ったという実感が、まだ成長途中だと感じます。

 営業ツールの1つとして参加されるのではなく、ほかの加盟している宿もぜひ利用してくださいねと進んで発信できるようになってほしいですね。……

【全文は、本紙1851号または11月26日(金)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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